'97年はx86互換プロセッサ市場が大きく拡大したとして記憶に残る年になったわけだが、COMDEXでのプロセッサメーカーの動向を伝えよう。
Intelブースはにぎやかだ。オープンスペースを区画したブースと違い、ルームと呼ばれる大きな会議室のようなスペースがIntelのブースになっている。入り口横のステージにはPentiumII搭載パソコンを乗せたクルマを展示し、CMでおなじみの気密服の一団(BunnyPeopleと呼ばれているらしい)が例のダンスを繰り広げるパフォーマンスを行なっている。洞窟のような通路を抜けると、各社のPentiumII搭載PCがずらりと並べられており、ところどころでIntelの提唱する技術のデモが行なわれている。とくに目新しいものはなく、噂されている新しいPentiumIIはどこにもなかった。それでもブースにはヒトが入れ替わり立ち替わり訪れていた。
K6が好調なAMDは、今年もConvention Center入り口近くのテントにブースを設置。カスタマーと一服できるラウンジを設けたり、コーラス隊(映画の「天使のラブソング」みたいなファンキーな方々)のライブがあるなど、Intel以上ににぎやかだ。K6やElanを搭載したメーカーの製品を並べた点はIntelと同じだが、2つほど面白いものがあった。ひとつは266MHzのK6を搭載したノート。これは正式なアナウンスがされたわけではなく、参考出品の形でAMDが製作したもの。もうひとつはなんと375MHzで動作するK6マシン。これは266MHzのK6(AMDの提供するサンプル)を375MHz(83MHzの4.5倍)にクロックアップしたもので、冷却にはフロンガスを使用するキワモノマシンだ。しかもこれがちゃんとした会社(KryoTech)が売り物としてやっているとのこと。月刊アスキー読者にはおなじみのハードウェアエクステンダーな人たちが米国にもいたというわけだ。ボンベや冷却系はすべて筐体内に組み込まれており、この改造を500~700ドルほどで行なう予定があるとのこと。
先頃、正式に買収が完了したCyrixはConvention Centerのコンコース内にブースを設置。巨大な6x86MXのモックアップとステージがあり、そのまわりを6x86MXやMediaGXを搭載した製品が囲んでいた。MediaGXはPCだけでなくInternet端末にも多く採用されており、実際にアクセスするデモが行なわれていた。注目は200MHz以上のMediaGXを搭載する「MEDIA
CENTER」だ。ピザボックス型のこのマシンはPCの基本機能に家庭用AV製品の機能を持たせ、その両方を有機的に統合するデバイスだという。ともかく通路にブースがあるわけで、露出度は非常に高い。
最後にIDTのWinChipにもふれておこう。Socket7互換のWinChipは少数ながら複数のメーカーが商品を出していた。またEVERGREEN
TECHNOLOGIES社がアップグレードパッケージを展示していた。これは75MHz以上のPentiumをMMX機能を持つ180MHzのPentiumと同等にするもの。いまさら180MHzというわけでもないだろうが、ベンチマークテストによるとIntelのODPよりも速くなるという。アップグレード品は約220ドルですでに発売されている。(月刊アスキー 浅野純也)