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[COMDEX]スーツケース片手にレジストレーションCOMDEX取材チーム秘話

1997年11月19日 00時00分更新

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 今年のCOMDEXは17日から開催されているが、例年2日目に予定されているBill Gates氏の基調講演が日曜夜に「前夜祭」として組み込まれるという新しいスケジュールに変わっている。同時に会場にも昨年とは違う点がいくつか。

 メイン会場となるLasVegas Convention Center(LVCC)はLasVegas Hilltonホテルに隣接する施設だが、昨年まで特定メーカーを集めたパビリオンと呼ばれるテント村が設置されていた駐車場の半分が今年は工事中。これは新しい展示棟を造成するためのもので、ただでさえ広いLVCCがさらに広くなるかと思うと、来年のCOMDEXがさらにヘビーなものになるのは間違いない。

 で、さっそくそのアオリを受けたのが、レジストレーション用のテント。最近では日本のイベントでも個人情報を登録するのが当たり前だが、COMDEXでは名前や会社などの個人情報をオンラインで登録後、プラスチック製カードにパンチする。そのカードが入場OKの印になるわけだ。そのカードを入れるホルダーは、メディアは赤、出展者は白、アナリストは黄色、一般は青色に色分けされており、どんな種類の人間なのかが分かる仕組みになっている。そのため、会場に着いてまずすべきことはこのカードを作成するレジストレーションを行なうことになるわけだが、昨年まではLVCCの目の前にあったレジスト用のテントが、その工事のおかげで遠く離れた場所に移されてしまったのだ。LVCCの入り口からも離れており、来場者は到着後、レジスト用テントとの往復の長い道を歩くことを強いられている。

 ヒサンだったのは我々取材班。日曜午後に現地に到着。ホテルへのチェックインの前にレジストをすませようと、空港からLVCCに直行したのだが、タクシーが止まったのはLVCCに隣接するLasVegas Hillton Hotel。昨年までなら抜け道があって、レジスト用テントはすぐの距離だったのに、今年は案内のオバチャンが「ローングウェイ」と言うので、いぶかしく思っていたところ、ようやくテントの移動を理解したというわけ。もちろん我々はスーツケースをガラガラ引きずりながらテントまで歩いたわけだが。

 でも、恩恵もひとつ。昨年までLVCC内の比較的大きめの部屋にアサインされていたプレスルーム--メディア関係の人間が休息を取ったり、設置された端末を使って記事を書いたり、各社のリリースを集めたプレスキットがまとめて置いてある、ちょっと便利な施設--が、LVCC前のテントに移されたこと。距離的には会場を出なければいけないので遠くなったのだが、スペース的にはかなり広くなり、これまで座るスペースにもあぶれていたことを考えると、正しい変更だと思う。実は、昨年までは同じ場所にPowerPCのパビリオンテントがあったことを考えると多少複雑な気持ちになったりもするのだが。

 例年LasVegasへはCOMDEXが始まる前日の日曜日に現地へ入っているわけで、現地へ向かう飛行機の中では、今年はどんな新しいモノがあるのかワクワクしながらも、しっかりぐっすり眠っていたのだが、今年はややブルーな気持ちで飛行機に乗り込んだ。というのも、16日の夜はW杯出場をかけたサッカーの試合があったからだ。我々取材班が乗り継ぎ地のサンフランシスコに到着するのは、試合が終わってから約2時間後。熱烈なサポーターというわけではないが、W杯ともなれば力も入る。B組2位になるまでの予選は欠かさず見ていただけに、大一番の試合が見られないのはツライ。この時期の西海岸行きの飛行機の日本人の大半はCOMDEXへ向かうわけで、もしかしたら航空会社が気を利かせて試合結果をアナウンスしてくれるかもと、淡い期待を抱いていたがUnited Airではそれもなし。

 仕方がなくシスコでの待ち時間の間に、スーツケースから端末を引っぱり出してモバイル通信を試みることにしたのだが、モジュラージャックを備えるのはAT&Tの電話機のみで、AT&Tカード(テレカみたいなもの)か、メジャー系クレジットカードでしか使えないシロモノ。手元にあったカードは運悪く受け付けてもらえなかった。直接日本に電話をかけて結果を聞くのもクヤシイので、AT&Tカードを探し求めて空港内を回ったところ、Internet街角端末を発見した。VGAモニタにタッチパネル付きキーボード、カードリーダがビルトインされたそのNEC製端末は、ノートパソコンの流用品なのが明白。AOLへのアクセスやファクス、telnet、WWWブラウザなど、2.5ドルで10分間使うことができる。こちらはカードが使えたので、早速アクセス。NetscapeでもExplororでもない独自ブラウザで朝日新聞へ行ってみた。もちろん日本語は表示できないのだが、一面に載った「国旗を持つカズ」の写真で、フランス行きの切符を手にしたのかどうかだけは分かった。う~ん、よかったよかった。これで日本経済も多少はよくなるかもと思って、試合の詳細を見ようと英語版へジャンプしたところ、やはり外国人にはニュースバリューがないのか、一言もふれられていない。これはメジャー系の新聞社はなべて同じで、結局その10分間では試合の詳細は分からなかった(検索の方法が下手だったのが分かったのは後日のこと)。

 結局LasVegasへ到着後、チェックインを済ますや早速COMPUSERVE経由でニュースを拾ってその熱い内容を知ったわけだが、日本中が熱狂していたであろうその瞬間、自分は飛行機で爆睡していたわけで、ちょっぴり寂しさを感じた。帰国してから録画しておいたビデオをひっそり見ることにしよう。(月刊アスキー 浅野純也)

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