京都で開催されている「LinuxConference 2000 Fall」を、宮原徹氏がレポート。今回はMorphy ONEと視覚障害者によるLinux利用についてのセッションを報告してもらおう。
講演「Morphy ONEで遊ぶLinux」
世界初のオープンソースハードウェアである「Morphy ONE」でLinuxを動かす試みを行なっている、芳尾桂氏による活動報告。
Morphy ONEはコンパクトなAT互換機であり、「どこでもLinuxができる」、つまりどこでも情報管理ができるというPDA的な使い方だけでなく、gccなどを使って「どこでも開発ができる」のも魅力だという。
芳尾桂氏 |
パッケージに際しては、ロケールデータやEmacsのような大きなパッケージについては必要最小限にするなど、制限された容量に収まるように苦心しているという。現在は無圧縮状態で70MB程度までコンパクトになっており、さらにファイルシステムを圧縮することで40MB程度まで縮小するに至っている。
現状の問題点として、Morphy ONEのBIOSのAPMが弱いため、Linuxからのサスペンドやレジュームができない点や、ユーザーインターフェイスに若干の課題があることが挙げられた。
また、オープンソースハードウェアを目指すうえでの問題点としては、フリーではないBIOSの存在を指摘した。しかし、UNIX系のOSを動かすのであれば、起動が行なえるだけのBIOSさえあればいいのではないかと考え、フリーのBIOSをベースにMorphy ONEへの組み込みを行なっているという。これにより、Morphy ONE上の2MBのフラッシュメモリにBIOSとLinuxカーネルを組み込んでの起動が可能になるという。この辺りの試みが完成した時には、Linuxの組み込み系での活用に対しても非常に有益な成果となるのではないだろうか。
どうしてもソフトウェア主導になりがちなLinux関連のプロジェクトの中で、Morphy ONEにかかわる一連の動きはハードウェア側からのアプローチとして非常に興味深いので、今後の動向に注目したい。