ファイルサーバ機能を提供するSambaの開発チームが、開発方針の違いから2つに分裂した。オリジナルのSamba開発チームから離れたメンバーは10月13日、「Samba TNG」(Samba The Next Generation)プロジェクトを立ち上げた。Samba TNG専用のWebサイトやメーリングリストがすでに稼動している。
Sambaは、SMBプロトコルを利用するWindowsのファイル/プリンタ共有サービスを実現するプログラム。WindowsとUNIXの混在環境で、Windows NT/2000のかわりにLinuxなどをファイルサーバにできるために、広く活用されているものだ。
開発チーム分裂に到ったのは、開発方針の違いと感情のもつれが原因だ。Windows 2000クライアントのドメインログオンを可能にするコードについて、samba-ntdomメーリングリストが紛糾。一緒に開発を進められないとして、コードを開発していたメンバがSamba TNGを立ち上げた。
オープンソース(GPL)のSambaは誰でも自由に改良できる。これはつまり、何人もが勝手にSambaの開発を進めてプロジェクトを分裂させることも、ライセンスは許しているということだ。しかし実際、オープンソースプロジェクトの分裂はめったに起こらない。今回のSambaは珍しい例だ。
オープンソース界のスポークスマンを自認するEric Raymondは、オープンソースプログラマの慣習を詳細に分析して、「ノウアスフィアの開墾」(Homesteading the Noosphere)という論文をまとめた。これによると、誰のものでもないはずのオープンソースソフトには実は暗黙のうちに所有権が存在しており、それを侵す分裂行為に対して強い圧力がかかっているという。ハッカーはプロジェクト分裂にいい顔をしないことは確かで、「作業が2重化する」と文句を言う。分裂の結果の子プロジェクトが生き延びることは滅多にない。
Samba TNGは、Windows NT/2000のドメインコントローラや(リモートレジストリ編集などの)NTベースサービスのサポートをSambaに追加することを目標にしている。