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24時間365日サーバを運用するEビジネス時代のインフラ

ついに動き始めた国内インターネットデータセンター(その1)

2000年10月17日 02時51分更新

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このように考えると、国内のIDCは「バックボーン重視型」と「付加価値重視型」に大きく分けられることが分かるだろう(図3)。

図3
図3 国内の主なIDC事業者の特徴図

ただし、バックボーン重視型のIDCにはSIサービスを期待できないかというと、そうではない。どのIDCも当然、拡張運用サービスやSIサービスも基本サービスの延長として視野に入れている。

 そこで、SIのノウハウを自社で持たないIDC事業者は、多くの場合SI事業者と協業してSIサービスを提供している。いわゆる「パートナーシップ」である。アメリカのIT業界では特にそうだが、パートナーシップは重要な企業戦略と考えられており、IDCも例外ではない。従って、国内IDCは外資系を中心にパートナーシップに基づくサービスの充実を図っている場合が多い。このモデルを特に「垂直分業モデル」という。

 実際、IDCの垂直分業に関連して、国内にはサン、オラクル、シスコが中心となって結成された「iDCイニシアティブ」という団体がある。iDCイニシアティブは、IDC事業における垂直分業モデルを積極的に推進することで国内のIDCの活性化を目指している。

 サン・マイクロシステムズの長井正利常務は「インターネットというオープンな環境では、常に新しい技術とビジネスモデルが追いかけ合っている。IDCを垂直分業することは、日本のインターネットインフラを成長させるためにも重要」という。

 一方、こうした協業体制は国内の企業文化には合わないという見方もある。「トラブル時の対応などを考えれば、協業体制では責任の所在が不明瞭になる。顧客が求めているのはスムーズなビジネスの運用。やはり日本にはトータルソリューションが合っているのでは」と語るのは、富士通IDC事業の池田尚義担当部長である。富士通はサービスメニューをフルラインナップでそろえ、すべて一社でサービスを提供するという姿勢でIDC事業を展開している。iDCイニシアティブが推進する垂直分業モデルとは正反対の、従来の日本のやり方(いわゆる丸抱え式)を踏襲したスタイルだ。

 現時点では、国内のIDCには、iDCイニシアティブを中心としたアメリカ流パートナーシップ方式と、大手メーカー系IDCを中心とした日本流丸抱え方式の2つの構図がある。どちらを選ぶかは顧客が目指す「Eビジネス」次第だが、IDCがそもそも「輸入文化」である日本にとっては、まだ両者を比較検討する土壌はあまりないようにも思われる。両者は共存するのか、あるいは一方が他方を淘汰するのか、今後IDCの行方とともに興味深いところである。

素朴なギモン

料金体系はどうなっている?

 IDCの料金は、基本的に「場所(ラック)代」と「回線接続代」を組み合わせた金額になる。拡張運用サービスやSIサービスを利用する場合は、別途見積もりになることが多い。回線接続代は大きく「固定制」と「従量制」に分かれている。固定制の場合はコストを見積もりやすい反面、急激なトラフィックの増加に対応できなかったり、普段利用しない帯域が無駄になったりする。一方、従量制は利用した帯域に対して課金される方式だ。

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