クライアントには、1人のユーザーが独占して使うものや、複数で共有して利用するものがあるが、最近では、1台のパソコンをみんなで共有するような使い方は減ってきた。ただし、特定用途専用にパソコンを専用端末的に使い、これを複数で共有するという使い方もある(たとえば、セキュリティの問題で、特定のパソコンからのみアクセスを許したいような場合など)。
クライアントの管理方法には、
- 完全放置
- クライアントについては何も関わらない。ただし、IPアドレスの割当てやネットワークの接続など最低限の管理は行なう
- 原則管理
- 各クライアントのOSや推奨アプリケーションなどのインストールまで管理する
- 完全管理
- 各クライアントを完全に管理し、ユーザーには設定を変更させない
といったやり方がある。このうち、複数人で共有するクライアントでは、完全管理を実施したほうがいいだろう。というのは、複数で使うものほど利用が杜撰になりがちである(放っておくと誰かがゲームソフトをインストールして昼休みに遊んでいるということもある)。完全管理を行なうためには、Windows系ではポリシーエディタ(画面4)を使って、設定変更を禁止する。
ユーザーごとに占有して使っているクライアントについては、完全放置が望ましい。ただし、やっかいなのはサーバとの関連で発生するトラブルとクライアント側の問題で発生するトラブルを、ユーザー自身が切り分けできないことだ。完全放置といっても、トラブルの報告は管理者のところへやってくることになる。ここから先をどこまで対応するかは、管理者の考え方次第である。親切に対応した結果、トラブルとは関係のないアプリケーションの使い方まで相談に持ち込まれるようになっては、本来の業務にも差し障りが出る。また、原因究明の結果、クライアント側に問題があった場合は、管理者はいっさいサポートしないというやり方もあるが、これはこれで管理者の評判を落としてしまうこともなりかねない。ある意味、管理者は損な役回りでもある。
メンバーの技量がまちまちで、完全放置と原則管理が混在するような場合、これらの区別はパスワードを管理者に公開するかどうかで決定する。つまり、パスワードを公開してくれたユーザーのクライアントだけを管理するようにするのである。実際、マシンのパスワードが公開されない場合、管理は困難である。たとえば、Windows 98では、ログイン時のパスワードは無意味に近いが、スクリーンセーバーでパスワードを要求するようになっていると、パスワードを知らない限り解除は不可能だ。これがアプリケーションやドライバのインストールや設定中に起動してしまうと、どうしようもなくなってしまう。
なお、クライアントで何度も発生するトラブルや、繰り返される質問については、対処法を文書化して、メールなどで配布しておくと、管理の手間を多少省くことができる。また、クライアントのトラブルを解決する場合、利用者にも立ち会ってもらって、説明をしながら手順を見てもらうと、以後、そのユーザーが他のユーザーの同種のトラブルに対応できるようになる(可能性がある)。こうすることで、少しでもサポートの手間を減らすように心がけたい。