このページの本文へ

ネットワーク管理の傾向と対策

カリスマネットワーク管理者への道(その3)

2000年10月03日 21時31分更新

文● 塩田紳二

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 管理者の仕事を始めるための大前提は、まず管理範囲を明確にしておくことだ。管理対象が明確でないのに管理などできるわけがないからだ。所属する部署だけを管理するような場合には、会社全体のネットワークの管理者と管理区分を明確にする必要がある。もっとも、SOHOなどでは、こうした分担は不可能なことがあり、すべてを管理することになるだろう。さらに、各メンバーが占有しているクライアントマシンに対する管理についても明確にしておく。各マシンの設定をどこまで管理するかは、原則(ポリシー)を決めて、個々のメンバーとどこまで管理するかを最初に話しておくといいだろう。もし、前任者がいる場合には、現状どうやっているかを確認しておく。

 これらについては、簡単なメモ程度でもいいから文書を作っておく。文書を作ることは自分のためでもあるし、管理者を交代する場合などにも役立つものである。

 もう1つの作業は、管理範囲内にある資産(マシンや機材、ソフトウェアなど)のリストを作ることである。もし、前任者の引継で管理者の仕事を担当するのであれば、最低でも資産のリストぐらいは引継時に入手しておいたほうがよい。

 資産のリストが得られたら、それを元に表計算ソフトなどで管理用のシートを作っておく。紙で管理してもいいが、後の作業を考えると、最初からパソコンを使い、データとして管理するようにしよう。たとえば、サーバと付属の周辺装置や増設したオプション、OSのバージョンやインストールしてあるアプリケーション、割り当てられたIPアドレスなどを分かりやすいようにシートにまとめるのである。こうした資料を空いている時間に作っておくと、引っ越しや機材のアップグレード、アドレスの変更などの作業をスムースに進めることができる。

 また資産リストで機材がはっきりしたら、それぞれを確認するためにも、各資産にシールなど作ってはっておくとよい。たとえば、マシンに割り当てられたIPアドレスが明示してあるだけでも、トラブル対策は簡単になるものだ(写真1)。

写真1
写真1 ホストの名前やIPアドレスなどは、シールプリンタで打ち出してマシンに貼っておく

 さらに、時間があいたら各マシンのMACアドレス(Ethernetアドレス)やシリアル番号(製造番号)なども調べておくとトラブル対策のときに便利だ。MACアドレスは、該当のホストへpingコマンドを実行したのち、

        
arp -a (WindowsNT BSD系)


arp (Linuxなど)


とすることで、現在OSが知っているホストのMACアドレスを見ることができる。ネットワークでよくありがちなIPアドレスの割当の重複トラブルでは、そのエラーはMACアドレスで報告されることがあり、このときにマシンとMACアドレスの対応が分かると即座に犯人が分かる。また、DHCPでのIPアドレス割当てを固定化するときにもMACアドレスは必要である。

 Excel2000などには、複数のワークシートから、特定の項目をキーにして1つにまとめた表を作ることができる(データベースでいうリレーション機能)。このため、たとえば、ホスト名とIPアドレスの表、ホスト名とユーザー名の表があれば、これを結合して、ホスト名、ユーザー名、IPアドレスという1つの表を簡単に作ることができる。データベースソフトでの管理もいいが、それほどマシンの台数が多くないなら、表計算ソフトウェアのこういった機能を利用して管理にかかるコストを減らすように心がけよう。

 さらに省力化を進めるなら、Perlなどのスクリプト言語を使えるようにしておくと、一定手順の作業を自動化できる。また、そのスクリプトを一定時間ごとに起動できれば、必要な作業について結果を見るだけで済むようになる。たとえば、Windows NTでのchkdskなどは、ATコマンドを使って毎日行なうといった指定もできるようになる。その意味では、スクリプト言語の習得は管理者の必須科目といってもいいかもしれない。

カテゴリートップへ

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ