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Trolltech、QtをQPLとGPLのデュアルライセンスに――KDEのライセンス問題解決へ

2000年09月04日 23時32分更新

文● 植山 類

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 KDEの配布が合法と確信できる時が来るようだ。ノルウェーのTrolltechは、ツールキットの次期バージョン「Qt/Unix 2.2.0」を、従来のQPL (Q Public License)に加えて、GNU GPL (General Public License)(非公式な日本語訳)も選択可能なデュアルライセンスでリリースする。

 「QtがGPLのもとで利用可能になって非常に嬉しい」と、Free Software FoundationのRichard Stallmanは語っている。

 QPLでライセンスされるQt Free Editionと、GPLなKDEデスクトップ環境との組み合わせは、ライセンスについての議論を巻き起こしていた。QPLは「オープンソース」として認められてはいるが、GPLと互換性がないという懸念である。

 問題となるのは、GPLが要求する配布条件にQPLが適合しない可能性があるという点だ。GPLなプログラムを配布するためには、ライブラリを含むプログラム全体がGPLでなければならないが、OSの主要な要素(カーネルなど)と一緒に配布される構成要素(libcなど)については、例外的にGPL以外のライセンスが許されている。ただし、その構成要素をGPLなプログラムに付随して配布することは許されない。

 QtはKDEに付随して配布されると見なすことができるので、KDEの配布はGPL侵害に当たる可能性があった。そのため、Debian GNU/LinuxなどはKDEを配布してこなかった。

 QtのライセンスにGPLが選択可能になることで、この問題は解決する。

 なお、これは商用ソフトが無料でQtを使用できることを意味するわけではない。QPLがリンクが認めるのはフリーソフトに限られ、またGPLがリンクを認めるのはGPLに限られるからだ。従って、商用ソフトウェアの開発にはQt Professional Editionを購入する必要がある。

 Qtのほかに、StarOfficeやMozillaが、独自ライセンスとGNU GPLのデュアルライセンスでソフトウェアを配布することを決めている。

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