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[インタビュー]ATMフォーラムのハンプフリー会長に訊く

2000年09月04日 00時00分更新

文● 高島茂男

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 ASCII24 Business Centerは4日、都内において、来日中のATMフォーラム(※1)理事会会長であるマーリス・ハンプフリー(Marlis Humphrey)氏にインタビューを行なった。

※1 ATMフォーラム:ATM(Asynchronous Transfer Mode:非同期転送モード)の相互運用仕様の作成や推進を行なっている、非営利の国際団体。世界の約430社の企業や、政府機関、大学などが同フォーラムの会員となっている

上記の注釈中で、「世界の約430社の企業や、政府機関、大学などが同フォーラムの会員」というところを、約550社と間違えて記述していました。ご迷惑をおかけした関係者および読者の方々に、お詫びして訂正させていただきます。
マーリス・ハンプフリー会長。風邪をひいている中、取材に応じてくれた

[Q] ATMフォーラムの最新動向を教えてください
[A] 「コアのインフラ部分は、すでにほとんど固まっています。現在は、アプリケーションやサービスの相互運用性の確認が主になっています」
[Q] IPですべて処理できてしまう時代になりそうですが?
[A] 「IPだけでなんでもできると言っていた人たちも、IPとATMがいっしょになって初めて役に立つと言うようになりました。インターネットはベストエフォート型で、品質を保証できません。ATMの最大の強みは、顧客に品質を保証できるということです。ATMフォーラムは、IPをATMによって、より力のある物にしていこうと言っています。IPoverATMでビジネスクラスに対応できます」
[Q] Voice over IP、Video over IPと、IPの上で音声や映像が扱えるようになってきていますが、ATMがマルチプロトコルではなく、IPだけの対応ではダメなのでしょうか?
[A] 「Voice over DSL(VoDSL)のループテストを見ても、圧縮した16の音声と1つのデータを確実に銅線で実現しようとすると、やはりビジネスクラスの保証が必要になってきます。そこにはATMが必要です」
[Q] 日本ではxDSLはまだこれからといった状況ですが、米国ではどういう状況でしょうか?
[A] 「米国では、コアの部分にATMが採用され始めています。DSLはまだデータのみの利用が中心で、IPだけであればまだそれほど需要は大きくありません。しかし、ここ最近VoDSLが脚光を浴び始めました。それによってATMの需要が増加しそうです。サービスプロバイダは、音声だけ、データだけでサービスを提供していると価格プレッシャーが強いので、マルチサービスで提供していく必要があります」
[Q] ワイヤレスの分野ではどうでしょうか?
[A] 「衛星にデータを上げる部分や、一部の加入者(受信側)で導入されています。多重化が必要なところで需要があります。2.5G、3Gの次世代携帯電話では、加入者までとはなりませんが、基地局までがATMになると思います」
[Q] ATMが家庭にまで入ってくるのでしょうか?
[A] 「機器の中にATMが入っているというのを、意識しないで使っているようになるかもしれませんが、難しいところです。TCOを考えて最適な選択をしなければなりません。ビジネスのケースではいろいろな機能が必要となります。米国のOceansideという自治体では、少し旧式ですが600ドル(約6万3500円)のATMを導入して、音声とデータのやり取りを実現しています。DSLが普及してATMが多量に導入され、コストが下がるということも期待できるかもしれません」
[Q] ありがとうございました

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