日刊アスキーでは、「Miracle Linux Standard Edition V1.0」のベータ版を入手した。ミラクル・リナックス(株)の「Miracle Linux Standard Edition V1.0」は、Oracle8iの使用を目的としたサーバ用途に適したディストリビューションになるだろう。
日本オラクルの子会社、ミラクル・リナックス(株)は、Oracle8iに最適化されたディストリビューション「Miracle Linux」を開発している。開発目標は、Oracle8i運用を目的とした、Windows NT/2000の代替として導入できるディストリビューションとなることである。
ベースとなったのは、TurboLinux Server 日本語版 6.1。インストール段階からOracle8iの導入を考慮しており、カーネルパラメータのチューンや、4GBメモリのサポートなどが行なわれている。パッケージについても、デフォルトでPHPがOracle8iに対応するようコンパイルされているなど、最適化がはかられている。
サーバ用途に特化
インストールのプロセスはTurboLinuxとあまり変更がない。基本的に、コンソールからシステムをインストールして再起動、そのあとX Window Systemやデーモンの設定を行なうという流れだ。IPアドレスの設定やパーティショニング、パッケージ選択などは特に迷うところはなかった。
パーティションの設定。ソフトウェアRAIDや、Oracleの標準的なディレクトリ構成であるOFA (Optimal Flexible Architecture)に合わせてパーティションを切ることができる |
インストールタイプの選択。ここで選択した用途に従って、適切なパッケージがインストールされる。さすがにサーバ向けディストリビューションだけあって、選択肢に「~サーバ」しかないのが印象的 |
ここで「多機能サーバ」を選択したところ、PostgreSQLやMySQLなどフリーなデータベースもインストールされた。
このあとパッケージのインストールが実行され、再起動する。次にXの設定、グラフィカルログイン/テキストログインの選択をして、起動するデーモンの選択を行なう。
サービス(デーモン)の設定を行なう。デフォルトで動作しているデーモンは少なく、セキュリティに注意が払われている |
クライアント環境として見れば、デフォルトでX Window System + Gnome (ウィンドウマネージャはSawmill)がインストールされるため、そこそこ充実しているといえる。EmacsやKtermでの日本語入力や、Netscape NavigatorでのWebブラウジングも問題ない。ただし初期設定状態ではCannaが動作していないなど、サーバ用途に限定した結果、切り捨てた機能も見られる。
設定ユーティリティ
システム管理ツールとして、X環境ではMiracleCfgCenterからアクセス可能な次のツール群が提供される。
- ネットワーク ―― デフォルトルートの設定、ネットワークインターフェイスのup/down、ネームサーバの設定など
- 時間設定 ―― タイムゾーン、NTPサーバの設定など
- プリンタ ―― プリンタの追加、削除
- サービス ―― サービス(デーモン)の起動、終了
- ポート ―― ポートの有効/無効切り替え
- 起動ディスク ―― ブートディスクの作成
サービスの設定ツール。一見、仮想ターミナルで動いているように見えるが、マウスで操作することが可能だ |
これらのツールはnewtツールキットで構築されているため、X/コンソールの両方に同じインターフェイスを提供している。つまり、Xの動作しない環境でも問題なくツールを使うことが可能だ。しかしベータ版のせいか、一部のツールは不安定で、異常終了してしまうためにテストできない機能もあった。
(「テストできない機能」とは、プリンタの設定を行なうツールがSegmentation Faultしてしまう問題のことだったが、あとでミラクル・リナックスから連絡があり、そのバグはもはや修正されたとのことだ)
GUIで対話的にOracle8iをインストールできる「Install Navigator for Oracle」など一部の機能を除けば、Miracle Linuxがデフォルトで提供する機能はほかのディストリビューションでも構築可能なものだ。しかし、その手間と必要なスキルを考慮すれば、Miracle LinuxはOracle8iに十分に適した環境といえるだろう。