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USBサポート、Windows VS Linux

2001年01月25日 00時00分更新

文● 塩田紳二

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 Linux 2.4カーネルでは、ようやくUSBが正式サポートされた。これでようやくUSB開発に弾みがつきそうである。さて、USBについては、Windowsのほうが先行しているというのが業界の「定説」。しかし、Windows 98でまともにサポートされてから、ようやく普及が始まったのがUSBなのである(それ以前は、マザーボードにUSBインターフェイスは載っていたものの、何も使い道がない時期がしばらく続いた)。本当は、Windows95のOSR1.0で限定サポートが行なわれたのが最初なのだが、Windows 95については、メーカープリインストール機種でのサポートのみが正式とされており、こうした事情もあって、多くの周辺装置メーカーは、Windows 98以降を周辺装置の正式サポートとしていることが多い。このUSBだが、Windows 2000でもサポートが行なわれたが、Windows 2000とWindows 98/Meでドライバに違いがあるために、Windows 98では動いても、Windows 2000では動かないといった周辺装置も存在する。

 Windows 2000までを含めたWindows環境でいえば、USBのサポートはまだ始まったばかりともいえる状態なのである。というのも、Microsoftは、次期WindowsではNTカーネル(旧NTカーネル)を標準とするため、98/MEのみをサポートするUSBデバイスをWindows 2000カーネルへ対応させるべく、サードパーティに働きかけを行なう必要があるからだ。

 しかし、現状、Windows 2000をビジネス向けと定義したため、Windows 2000のシェアは伸び悩んでいる状態である。また、周辺装置メーカーは、Windows Meへの対応や検証に追われている状態でもある。

 さらにいえば、Windows CE機の一部はUSBポートを装備しているが、こちらもドライバがそろわないため、ほとんど利用できない状況にある(もっとも、CEに関しては市場が小さくて、ドライバのサポートはかなり限定的である)。

 LinuxのUSBサポートにはこうした違いはないため、一度ドライバが作られれば、USBサポートの方法が変わらない限り、ドライバはムダにはならない(もっとも、Windowsでも、まったくゼロから作り直しというわけではないが、現状バイナリ互換がない)。

 たとえば、ちょっと話題になった、インテルのUSB接続の顕微鏡「QX3」は、現在Windows 2000用のドライバが提供されていないため、使えるのは、Windows 98/Meに限られている。しかし、このQX3には、LinuxでサポートされているCPiAチップセットが使われているため、Linuxで動作するのである。

 以前米国に行ったおりに購入したQX3なのだが、筆者宅ではWindows 98がインストールされているマシンにはUSBがなく、Windows 2000やNTマシンでは、QX3が使えないという状態である。というわけで、筆者も2.4カーネルを入れようと思っている(でも時間が……。やはりディストリビューションを待つか?)。

 いままでLinuxに乗り換えられない理由として、「周辺装置のサポートが少ない」といったことがあったが、このようにWindowsとLinuxが逆転している現象も世の中にはあるわけだ。

 これをもって、WindowsとLinuxの立場が逆転したとはいわないが、MicrosoftがWindows 2000カーネルへの移行でもたもたしていると、Linuxのデバイスサポートがかなり追いつく可能性はある。それに、Linuxを使う前に「デバイス云々」を問題にするユーザーであれば、市場で人気の上位何機種かのデバイスがあれば、満足できるのではないか?

 そう考えると、たとえば、多少制限のあるインターネットアプライアンス機などでLinuxを使い、「著名なUSBデバイスのみ動きます」なんて形が実現するまでもう少しかもしれない。だとすると、そういう形で、Linuxが広く使われるようになる可能性もある。

(塩田紳二)

塩田紳二(しおたしんじ)

プロフィール
 雑誌編集者、電機メーカー勤務を経てフリーライターとなる。月刊アスキー、月刊インターネットアスキーなどの雑誌連載や、Web雑誌(ASCII24 Intel/MS Espresso)の連載などで執筆中。1961年生れ。一児の父。最近の趣味は、革細工。といっても、通信教育のコースを始めただけ。目的は究極のモバイル鞄づくりなのだが。

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