前ページでも紹介したとおり、ガーラの売り上げは急激に伸びている。ただ単に人気を集めるのではなく、その人気をうまく使ってビジネスを展開していったのがガーラ成長の秘密だといえるが、ではなぜ、こうしたビジネスモデルを創出しえたのだろうか?
問題は、いつ予想した社会になるのか? というタイミングを計るのが、微妙だということです。たまたまCyber COPSもインフォ@メールも、このタイミングで需要が出てきた。インフォ@メールも、ガーラフレンド開始時には需要を想定して、データを蓄積してきています。最近インフォ@メールの手法である「オプトインメール」で、競合で何社か出てきましたが、それは米国でこういうビジネスが成功しているのを聞いてから事業をやり始めています。ガーラは聞く前からやり始めているわけです。こうして準備していくことが大切なのです。
ガーラの今後
ガーラは、今後もコミュニティを軸に展開していく。菊川氏は、3年後にインターネットの人口は頭打ちになり、マーケットもも成熟されたものになると考えている。ガーラは2年後に、収益性のきわめて高い“エクセレントカンパニー”になることを目指しているという。
ガーラと空間革命
ガーラは、正確にいえば「インターネット企業」ではない。菊川氏によれば、ガーラはインターネットの次のステージを目標に事業を展開しているという。その、“次のステージ”が、社長の挨拶でも語られている「空間革命」である。
単なる通信ではなく、実体験に近いコミュニケーション
菊川氏は、「空間革命は非常に理解されにくい」と前置きしながらも、説明をしてくれた。それによると、具体的にいえば、「電子空間の中で、お互いの姿をもって話ができるのが、空間革命」だという。つまり、物理的な移動をしなくても、人が電子空間の中に自分の姿を持ったまま(これには立体スキャナなどが使われることになるだろうとのことだ)存在し、遠方の人間とも電子空間の中で出会うことができるようになるということだ。「経済的なインパクトがあります。生活、人間の価値観そのものが変わる」(菊川氏)。
しかし、意思の疎通やビジネス的なコミュニケーションであれば、メールや電話、ファクスを使えばいいのではないだろうか? 菊川氏は、テレビを見るのと実際に体験するのではまったく意味が違うのと同じように、空間を移動するということは、人間にとっては次元の違う意味を持つ、という。たとえビジネスシーンであっても、やはり「人との出会いは大切」とのことだ。
では、「経済的なインパクト」とは何だろう? 菊川氏のWebページでは、「産業革命」以来のインパクトがあるという。これは、電子空間が普及すれば、モノの存在価値が薄れていくことに起因する。モノを作るには、現在いくら大量生産でコストがおさえられるといっても、物理的なコストがゼロになるわけではない。ところが、デジタルデータであれば、コピーはいくらでも可能である。空間革命が進んでいくと、衣服などはデザインコストのみの存在になるであろう。電子空間での生活がメインになれば、さまざまなモノが本物である必要はなくなる。さらに、輸送費もかからない。
今までのCPUの速度の進化スピード。通信速度の進化のスピードを見ると、あと5年後には実験的にこういうことが可能なのではないか? と菊川氏は考えている。
そして、この電子空間の提供者になるのがガーラの最終的な目的である。だから、インターネットにおけるビジネスは、ガーラにとっては通過点でしかなく、インターネットにこだわりはないのだそうだ。