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(株)ガーラ――バナー以外で収益を確立する方法

e-business羅針盤

2000年06月05日 00時00分更新

文● 吉川

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 ガーラは、1993年9月3日に設立され、その後1年を1期として6期を数え、第7期(1999年9月~2000年3月-4月14日現在期間修正中)からは7カ月決算に変更、現在第8期に入っている。第6期の売り上げは約2億9000万円、第7期は7カ月決算にも関わらず約2億2000万円、対前年比で180%近く伸び、第8期も順調だという。また、売上総利益(粗利)の対前年比についても、第6期が141%、第7期が(7カ月で)74%という高い伸び率を示している。
 「だから、ネットビジネスは儲からないというのは、そんなことはないです。儲かるものと儲からないものと2つあるかなと思います」(菊川氏)。

ガーラフレンド

 ガーラは、「コミュニティ」をキーワードに事業を展開している。その中核となるのが、無料会員制のコミュニティサイト「ガーラフレンド」だ。1998年から開始して、2000年3月には会員数が54万人になった。ガーラフレンドのサービスは掲示板中心のもので、会員以外の発言はできない。ユーザーは入会時にプロフィールを記入する。これにより、誹謗中傷や危険な書き込みなどを抑制できるわけだ。また、プロフィール情報は、ガーラの事業にとって、大切なリソースとなる。
現在、ポータルサイト「goo」と提携し、コミュニティコンテンツ内での連携を行なっている。また、ガーラフレンドのシステムやノウハウを企業に提供する「コミュニティOEM」や、ガーラフレンド内に企業のコミュニティを開設する「コミュニティ受託事業」も展開中だ。

チャットマーケティング

 コミュニティサイトというと、広告による収益を考えがちだが、ガーラの場合は広告以外のビジネスが中心だ。そのひとつが「チャットマーケティング」である。

 チャットマーケティングは、企業に対してマーケティング情報を提供するサービスである。60万人の会員を抱えるガーラフレンドでは、日々ジャンルごとにさまざまな会話が行なわれている。すでに500万件以上の投稿が、ガーラにはあるという。こうした会話から生活者のナマの声を抽出し、企業に提供するのがチャットマーケティングである。たとえば、企業が新しいプリンタを開発したい場合、“プリンタ”という単語が含まれた会話をガーラが抽出/フィルタリングしてレポーティングする。これにより、企業は普段何気なく交わされている会話から、マーケティング情報を取得することが可能になる。

 チャットマーケティングのメリットは、どういう属性の人がどのような発言をしているか、といった情報も得られることである。「誰」が、「どのような希望をもっている」かを、500万件のデータの中から抜き出せるわけだ。ここで心配になるのが、プライバシーの問題だが、当然のことながら個人を特定できるような情報が企業に流れるようなことはないという。

eマイニング

 チャットマーケティングから派生したビジネスが、「eマイニング」だ。これは、インターネット上のデータソース(Webページ、掲示板、メールマガジンなど)からユーザーが指定したキーワードをガーラが検索/フィルタリングし、その結果(URLと引用文)を1日1回メールで届けるというもの。企業のリスク情報の管理や、マーケティングデータ取得に約に立つ。

 情報ソースだが、検索エンジンとガーラのスパイダーからのものに加え、2万2000誌のメールマガジンも利用される。チャットマーケティングが発言者の属性まで分かる深いデータを取得できるのに対し、eマイニングは調査する範囲の広さが特徴といえる。

インフォ@メール

 「インフォ@メール」は、ひとことでいうとダイレクトメールの登録サービスだ。ユーザーが自分に興味のあるジャンルを登録(用意されたジャンルは約140種類)すると、そのジャンルのダイレクトメールが送られてくるサービスである。ダイレクトメールといえば、いらないメールの代名詞だが、自分が興味のあるジャンルならば、逆に情報源となり得る。インフォ@メールは、ガーラフレンド会員への提供に加え、インフォシークやgooとも提携してして展開している。このビジネスは大きく発展していくであろうと、菊川氏も期待を寄せる。

Cyber COPS

 「Cyber COPS」は、Webの掲示板で、放送禁止用語や禁止されている内容をフィルタリングし、掲載拒否や管理者への通知を行なうシステムだ。現在、Dreamcastネットワークや、goo、Infoseekなどに採用されている。Cyber COPSは、1999年7月にビジネスモデル特許を取得している。

成長する各事業

 以上の事業は、それぞれが収益を上げている。たとえばインフォ@メールの売り上げだが、2月は約300万円、3月は約1000万円、4月は約1400万円となり、5月は2000万円程度になるという。毎月1.5倍の速度で成長しているのだ。また、Cyber COPSも、2月で100万円、3月が150万円、4月が400万円となり、5月は1000万円程度になるという。

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