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Linuxのある生活――序章

2000年03月15日 23時08分更新

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 すっかり、ごぶさたしてしまいました。

 これまで、「lost+found」というタイトルを掲げ、ふと見過ごされがちなLinuxのトピックを取り上げ、その重要性を再認識してもらおうという主旨でコラムを執筆してきました。

 サブタイトルにつけていた「Linuxのウソ」は、当初、10回程度のトピックを漠然と考えていたのですが、だんだんテーマが重くなってきて、私自身の考えを熟成させる時間がなかなか取れなくなっていました。そして、ズルズルと思考の無限スパイラルに陥いってしまい、結果、未更新状態が長々と続いてしまうことになってしまいました。本当に申し訳ありません。

 途中、はっきりした結論ではなく、その思考過程を示すことで議論の発端を提起することはできるかもしれないという思いも脳裏を過ったのですが、やはり、自分自身の思索をもっと深め、きちんとまとまった形でお伝えしたほうが良いと結論しました。そこで、日刊アスキー編集部に我儘を言って、「lost+found――Linuxのウソ」のコラムを、一時お休みさせていただくことにいたしました。

 まだ詳しいことは書けませんが、「出口」へつながる道筋の「アタリ」が、自分自身の中では見えかけてきているので、それについては、また別の機会にまとめて発表したいと思います。

 とはいえ、これですっかり隠居してしまうのも何なので、日刊アスキーLinux編集部と相談の、もっと軽いテーマでコラムを続けることになりました。

 仕切り直しということで、「cron.daily」という新しいタイトルをつけました。タイトル名にあまり深い意図はないのですが、日々の出来事を日記風にという方向性は意識しています。もちろん、読者のみなさんに「見せる(魅せる)」という使命がある以上、素朴な感想に留まる(本来の意味での)日記とは違いますが、それでも、場合によっては、瞬間的な感覚や、「生」の思考過程をさらけ出すこともあるかもしれません。

 また、新しい試みとして、読者のみなさんからのご意見、感想、要望などなどを受け付けるメールアドレスを公開します。「まるっきりそれだけ」というわけにはいかないと思いますが、多少は、Webというメディアのインタラクティブな側面も意識したいとは考えています。いただいた要望やご意見に必ず反応できるとは限りませんが、建設的で真摯(かつ「紳士」)なご意見には、できるだけ耳を傾けていきたいと思いますので、日々の素朴な疑問やご意見など、遠慮なくお寄せください。どうかよろしくお願い致します。

 さて、今回は第1回ということで、仕切り直しのごあいさつがメインでしたが、それだけではナンなので、最後にちょっとだけトピックを書いておきます。

OS選択の自由

 日本ゲートウェイ(株)が、PC自作キット「Gateway JI-SAKU-KI」を発売しました。これは、CPUやメモリ、マザーボードなどといった基本パーツから、簡単な工具やマニュアルまで、PCを完成させるために必要なものが全て揃っているオールインワンキットです。CPUにAthlonを採用していて、価格は8万9800円(Athlon-600MHz)からとなっています。

 ゲートウェイのような直販メーカーが組み立てキットを発売することは珍しいといえば珍しいのですが、まぁ、それ以外にはこれといって注目点がない普通のニュースのようです。私も何気なくニュースを読んでいたのですが、「このキットにはOSは含まれない」というところで、はたと目が止まりました。OSがつかないPCは、最近では、ちょっと新鮮な感じがします。

 そういえば、Windows 98がリリースされた前後でしょうか。PCにプリインストールされているWindowsを利用しないかわりに、その分のライセンス料を返金してもらおうという運動が、Linuxユーザーらの間で盛り上がったことがあります。日本では、ユーザーの直接行動があまり見られなかったようですが、海外ではデモ行進なども行なわれ、それなりの盛り上がりを見せました。結果的には、返金に応じてくれたかどうかの対応はメーカーによってまちまちでしたが、それでも、「Windowsが当たり前」という「温い」風潮に1つの問題提起をしたという点で、大きな意義があったと思います。

 最近では、Linuxをプレインストールしたマシンも少しずつ増えてきてはいますが、それでもまだまだ機種の選択肢は少ないのが現状です。ですから、Linuxをメインで使うユーザーからしてみれば、キットとはいえ、OSを自分で選べる(使わないWindowsのライセンス料を節約できる)マシンが増えるのは、歓迎すべきことでしょう。

 もちろん、コンシューマ市場では、PCは「アプライアンス化」して、ユーザーがOSを意識することは少なくなっていくでしょうが、プロシューマというか、能動的にコンピュータを使おうとしている私たちのような層にとっては、逆に、自分の選択で環境を選べるようになるべきだと思うのです。つまり2極分化していくってことですね。

(風穴江)

cron.daily宛てのメールアドレス

 今回から始まった、風穴江氏のコラム「cron.daily」では、幅広く読者の皆さまからのご意見、ご要望をお待ちしております。メールアドレスcolumn-cron@linux24.comまで、お送りください。

風穴 江/かざあな こう

プロフィール

「月刊スーパーアスキー」誌(1998年7月号で休刊)にて1993年ごろからLinux連載を担当。1998年3月からフリーに。1999年4月1日からは「月刊Linux Japan」(LASER5出版局)の編集長も務める(エイプリルフールではない)。1967年、青森県生まれ。青森県立八戸高校卒。

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