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「IBM総合フェア2000」Linux Dayレポート: 「Linuxの国際化への取り組み」

2000年03月06日 12時04分更新

文● 沖中 弘史

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Li18nux共同議長の木戸彰夫氏画像
Li18nux共同議長の木戸彰夫氏
 3月1日~3日にかけて、日本コンベンションセンター(幕張メッセ)にて「IBM総合フェア2000」が行なわれた。最終日である3日にはLinux Dayが設けられ、日本アイ・ビー・エム(株)アプリケーション・ソフトウェア・プロジェクト担当、Linux Internationalisation Initiative(以下Li18nux)共同議長の木戸彰夫氏により「Linuxの国際化への取り組み」と題された講演が行なわれた。

 木戸氏は、まず、ソフトウェアの国際化、地域化とは何かということについて、

  • 国際化-インターナショナライゼーションとは、複数の国や文化、言語や習慣を扱うために、OSやライブラリ、アプリケーションを汎用化するプロセスである
  • 地域化-ローカライゼーションには、現在多く行なわれている、各国ごとに個別にパッチなどをあてて対応する直接地域化と、国際化に基づいた地域化があり、現在求められているのは、国際化に基づいた地域化である

と説明した。

Li18nuxの現状

 そして、UNIXの国際化とLi18nuxの現状について、

  • UNIX上での国際化の仕組みには、ロケール、国際化対応APIといったものがあり、IBMをはじめ、Sun Microsytems、Silicon Graphics、Hewlett-Packardなどが、過去10年以上の苦労をしてきた。これらの企業は現在、Linuxをサポートすることを表明しており、また、国際化の重要性を認識しているため、Linuxの国際化を推進するLi18nuxが設立された
  • インターネット上でe-bisinessが行なわれるようになって、米国などのシングルバイト文字を使用する地域の企業も、国際化に前向きになった。米国の企業が、日本にモノを売りたいから国際化に対応したい、といったような具体的な要求があるのは、国際化への大きな動機となる
  • 国際化に対する要求があったため、周囲のLi18nuxへの賛同も早かった。現在、ディストリビューター、オープンソースのプロジェクト、Linux関連企業など、多くの団体がLi18nuxに参加。また、参加団体は、アメリカ、アジア、ヨーロッパ、中東など、世界中に存在している
  • Linux上で現在使用されているCライブラリ(glibc2.1)は、国際化対応されていないが、次のバージョンのCライブラリ(glibc2.2)では、商用UNIX並みの国際化対応がなされる

ことなどが語られた。

Li18nuxロードマップ

 Li18nuxの活動のロードマップとして、

第1フェーズ

  • Linuxの共通国際化規約「LI18NUX 2000」策定
  • 国際化されているオープンソースのライブラリのカタログ作成

第2フェーズ

  • フォント、印刷機能などの国際化に対処

が、予定されており、以下のようなタイムテーブルを発表した。

  • 2000年5月11日~12日 Linux World Expo Japan(東京)
    「LI18NUX 2000」ドラフト発表
  • 2000年8月15日~17日 Linux World Expo San Jose
    「LI18NUX 2000」発表

また、より詳しい情報を伝える、新しいWebサイトの準備を進めていることが、補足として付け加えられた。

オープンソースへの参加

 オープンソースへの参加について、

  • プログラムが書ける人はプログラミングによって貢献しているが、一般のユーザーもプログラムが書けないからといってあきらめないで欲しい
  • プログラマは、どんなソフトウェアが望まれているのかを知らないとコードを書くことができない
  • 何もしないのではなく「こんな機能があったらいいな」と要求することで、オープンソースへ貢献してほしい

と語り、講演を締めくくった。

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