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TECH Linuxインタビュー

2000年03月03日 00時00分更新

文● 吉川

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 (株)アスキーから、“すぐ遊べる、すべて学べるリナックス活用エンターテイメントマガジン”をキャッチコピーにしたムック「TECH Linux」が出版された。特集は、「ゲームサーバー完全構築マニュアル」。この特集名からも分かるとおり、ゲームやその周辺情報がメインのLinux本である。そしてもう1つの特徴は、分かりやすく楽しい記事が多いこと。大笑いして読むことができるのは、ラッシュといわれるLinux関連雑誌/書籍の中でこれだけだろう。

 同じアスキーにいながら、日刊アスキー編集部がTECH Linuxについて知るところは少ない。そこで今回は、TECH Linuxを編集したテックウィン編集部 副編集長 比嘉隆氏に話を聞いた。

比嘉氏写真
(株)アスキー エンタテインメントメディアカンパニー テックウィン編集部 副編集長 比嘉隆氏

 なお、TECH Linuxについては、日刊アスキー Linuxの「Linux雑誌これを読め」で、当編集部員が好き勝手な感想を述べている(http://www.ascii.co.jp/linux/bookstore/magtalk/article/article381856-000.html)。こちらも合わせてご覧いただければと思う。

本記事末に、TECH Linuxにご執筆された方々や、記事そのものに関係するWebページのURL一覧表を掲載しました。ぜひご利用ください。

QUAKE III:Arenaがきっかけだった

[日刊アスキー] まずは創刊のいきさつからお話いただきたいと思います。
[TECH Linux] もともとは、QUAKE III:Arena(ベータ版)が2CPUに対応していたことがきっかけだったんです。2CPUのWindows NTと、2CPUのLinuxでは、どちらがQUAKE IIIのパフォーマンスが上なのかな? と思って。それに、Linuxの作り物系雑誌はほかに見当たらなくて、中高生でも読みやすい本を作ろうと思いました。
[日刊アスキー] では、このQUAKE III特集が比嘉さん個人としては、動機だったわけですね?
[TECH Linux] そうですね。もともとQUAKEのサーバは、Linux版を使っている人が多いという事情もあって、「じゃあ、サーバ関連の記事も含めれば興味を持つ人も多いだろう」と思ったので。
[日刊アスキー] 比嘉さんは、ずっとLinuxを使ってきたのですか?
[TECH Linux] いやいや、実は、先ほどお話したQUAKE IIIのLinux版に興味を持ってLinuxをいじるようになったんです。ゲームがきっかけですね。かなりヘンですよね(笑)。
[日刊アスキー] うーん、確かに。たいていの人はサーバを立てたいとか、そうした理由でしょうからね。Linuxとゲーム、といえば、ゲームのカタログがスゴイですよね。52本も集めてあって。
[TECH Linux] 一般的に、“Linux上のゲーム”といった形で記事が作られると、WindowsなりMachintosh系に比べて見劣りするような感じになってしまうじゃないですか。「そんなことはないだろう」と思いまして。
[日刊アスキー] いわゆる、トランプゲームやパズルゲームだけではなくて?
[TECH Linux] ええ。普通に遊べるゲームもかなりあるだろうと思ったんです。
[日刊アスキー] プレイステーション2のインタビュー記事「プレイステーション2&開発ツール『DTL-T10000』インタビュー」も、ほかのLinux雑誌よりもページ数を割いていて大きな扱いですよね。これもゲーム系ならではという感じです。
[TECH Linux] そうですね。同じネタでは日経Linuxさんが数カ月前に掲載されていたかと思います。あとはLinux USERさんの、ナムコさんへのインタビュー記事に少し載っていましたね。TECH Linuxの記事は、プレイステーション2よりも、「ゲームを作りたい人達向けの展開はどうなるのか?」という点が気になってお話を伺っています。遊ぶことと同じくらい、作ることを楽しめる人が増えないかなと。
[日刊アスキー] それから、アリスソフト互換のゲームエンジンの記事「System3.5 for X Window System詳細解説」も、「こんなのあったんだ!」という驚きがありました。
[TECH Linux] System3.5はWindows用のソフトウェアなんですが、Linuxに移植されている方々がいまして、本当にきちんと市販ゲームが動くんです。
[日刊アスキー] 読み物系ですと、「高橋ピョン太のLinuxも使える、いい男(女)」はかなり笑わせていただいたのですが。
[TECH Linux] ええ(笑)。これは絶対ウケると思ったので。
[日刊アスキー] ここまで笑わせてくれる記事を作るノウハウって、すごいですよね。

“作る”がキーワード

[日刊アスキー] やっぱり、雑誌を買い、わくわくしながら家に帰ってCD-ROMをセットして遊ぶ、といった流れってあると思うんですが。比嘉さんがいらっしゃるTECH Winはまさにそうした雑誌ですよね。TECH Linuxもやっぱり同じだ、と思ったわけですが。
[TECH Linux] とりあえずこの1冊があれば、何かと楽しめるかなと。こうした内容を引き続きできればいいなと思っています。
[日刊アスキー] 読者ターゲットは、TECH Winと似たような、学生さん中心といった感じなのでしょうか?
[TECH Linux] そうですね。まあ、実際にLinuxを使っているのは、20歳以上の方なのかなと思いますけれども、高校生や中学生にも買ってほしいなあと思っています。
[日刊アスキー] そうですよね。我々も話をしていたときに、「これ、中高生に読んでもらいたいよね。わからなかったら質問したりして」と言っていたんです。結構、Linuxを使っていらっしゃる方で、プログラムをしたくて専門書籍を買ってきても、難しくてもなかなかできない、という方が多いんじゃないか? という話もしていたことがあって、そういう人にもいいかもしれないですね。
[TECH Linux] はい。ほかの本には「すでにみんな知っているから」という前提で書かれていないことがあったりしますから。TECH Linuxでは、“作る”といったキーワードに寄った形で、こうした基礎的なことも書ければ、と思って編集しています。
[日刊アスキー] では、原稿の打ち合わせでも、そのあたりは話し合われたのですか?
[TECH Linux] そうですね。筆者の方には、初心者/中高生でも分かるように、というお願いをしました。とにかく記事を読んですぐにわからなくても、何かしらの“とっかかり”になるようなところを書いていただきたいというお願いをしました。
[日刊アスキー] 執筆されている方なんですが、どういった人達なんですか?
[TECH Linux] 私が色々探しまわって、gccの方やKDEユーザ会の方にお願いしました。今回初めて商業誌に原稿を書いた方もいらっしゃるんですが、編集する苦労はあまりありませんでしたね。皆さんWebなどで書き馴れていらっしゃるので。
[日刊アスキー] 中身も濃いですよね? それにスイスイ読めてしまう。そういえば、数あるLinux雑誌の中で、一番“!”マークが多い雑誌ではないでしょうか?
[TECH Linux] あはは、そうですか? すみませーん(笑)。そうかもしれませんねー。

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