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LinuxWorld Conference & EXPO New York レポート その3

2000年02月05日 00時00分更新

文● 宮原 徹

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日刊アスキー Linuxでコラム「ソフトウェアベンダーから見たLinux」を執筆中の宮原 徹氏に、LinuxWorld Conference & EXPO New Yorkをレポートしていただきました

 み。@NYです。会期も3日目。私自身も会場の雰囲気などにかなり慣れてきたので、今日は展示会場を中心に積極的に会場内を廻ってみました。

2月3日(木曜日) 曇りのち雪!

 今日の基調講演は、米VA Linux Systems社長のLarry Augustin氏。先日IPO(株式公開)を行なって、豊富な資金を調達した同社の今後の戦略を中心に講演を行ないました。


Larry氏写真
VA Linux Systems社長Larry Augustin氏

 まず最初に、従来のソフトウェアビジネスにおけるお金の流れが、資金(ユーザーからのライセンス料等)→マーケティング→開発というように、技術に対しての資金の流れが遅く、かつ減らされてしまっている流れなのに対して、オープンソースによるビジネスモデルは、資金がダイレクトに技術に届くモデルである、という話から始まった。
 それを踏まえて、同社のいくつかの活動の紹介に入った。最初がIA-64への対応。前回のLinuxWorldでは、IA-64エミュレーターによるデモであったのに対して、今回は実際のチップ(Itanium)を使っての64bit Linuxのデモンストレーションとなった。滑らかに動く3Dグラフィックスや、MPEGビデオの滑らかな再生などのハイパフォーマンスをアピールし、32bitに対応したソフトウェアとの互換性については、3Dアクションゲーム『DOOM』を動かして、場内から笑いが漏れていた。実際にユーザーがIA-64のマシンを使用するようになるのは、今年の夏に予定されているMercedではなくMackinlyになりそうではあるが、先が楽しみである。



デモンストレーションをするAugstin氏写真
デモンストレーションをするAugstin氏

 さらにオープンソースコミュニティに対しての同社の取り組みとして「SourceForge」が紹介された。同サービスはオープンソースソフトウェアの開発にかかわるさまざまな作業のためのインフラをホスティングサービスするもので、ブラウザ経由でディスカッションやプロジェクト管理、そしてバックエンドにCVS(Control Version System)を利用したソースコード管理などの機能を提供している。サービス対象はLinuxに限らずFreeBSDや他のUNIX、そしてWindows用のソフトウェアでもOKとのこと。果たして今後、このインフラでの開発がどの程度行なわれるか、注目したい。



SourceForceの看板写真
VA Linux SystemsのSourceForceデモンストレーション

 もう1つ、オープンソースコミュニティ関係での発表として、Andover.netを買収したことを発表した。Andover.netはユーザーコミュニティとして有名なFreshmeatSlashdotを運営しており、この買収がビジネスとコミュニティの関係に今後どのような影響を及ぼしていくかを注目したい。
 そういう点から、最後のQ&Aの際に、同社がオープンソースに注力していることは非常によく分かったが、どのように収益を上げるビジネスモデルなのかという質問が出た。残念ながら、この質問に対する明快な回答が出なかったところからも、米国におけるオープンソースビジネスのトップ集団を走る同社においてもいまだにビジネスモデルは確立できていない現状がうかがえるであろう。



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