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米TurboLinux クラスタ製品マネージャ Aaron K.Mckee氏インタビュー

TurboCluster Serverで、Linuxのスケーラビリティが変わる!

2000年01月04日 00時00分更新

文● 吉川

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[アスキー] 手頃な価格というお話が出ましたが、やはりコストが低い分、TurboLinuxさんに入ってくる収益も若干減ってくるとは思うのですが、ビジネスモデルとしては、どういった戦略を考えてらっしゃるのでしょうか? きちんと回収できるようなビジネスプランで考えてらっしゃるのでしょうか?
[Aaron K.Mckee氏] 回収できると思います。TurboCluster Server以前にも、我々はさまざまな製品を作っており、いろいろな価格設定を持っていたわけです。日本の場合はよくわかりませんが、米国ではTurboLinux Serverの価格が250ドルといったところで、TurboCluster Serverは1000ドル~2000ドルというように、今までの既存製品よりは高い価格設定になっております。もちろん、もっと価格をつりあげて高いところに設定することはできますが、それはいいアイデアではないと思っています。クラスタというテクノロジーは、小人数の人しか享受できなかったものですが、これを一般の方々にも享受していただきたいと考えています。1台あたりの価格は下がるかもしれませんが、数人の人しか買えないものを一般大衆に供給できるような形にして、それを大量に供給することによって健全な収益を上げるということです。ですから、非常にうまくいく事業であると考えています。
[ターボリナックス ジャパン] 日本国内の話としてちょっと補足させていただきたいのですが……。
 とはいってもですね、日本の市場でそういったクラスタサーバが爆発的に何百万台も出るかというと、ノーなんですよね。そこで実際どうやって回収するかというと、教育などのほかに、「OSカスタマイズ」という事業を立ち上げようと考えております。これは、たとえばお客さんの要望にあわせて、TurboLinuxをチューンナップしたものを個々のソリューションごとに提供しよう、というものです。
[アスキー] SI業者さんに、そうしたカスタマイズのための技術情報を提供していくという考えですか?
[ターボリナックス ジャパン] まずはターボリナックス ジャパンがやりますけれども、最終的にパートナーさんの技術力を上げることをメインに考えて、これからパートナービジネスを設計していきます。
[アスキー] 今回、日本語版に関しては、パッケージ販売というよりは、実際には間接販売をメインに考えておられますか?
[ターボリナックス ジャパン] 一慨にはそうとはいえませんが、やはり初期の段階では私どものダイレクトセールス部門が行ないます。ただし、販売店様に関しましては、我々が営業をしていきます。ここで難しいのは、TurboCluster Serverを販売するにあたって、Linuxの知識とクラスタの両方を知らなければならない点ですね。クラスタに関するパートナープログラムは、2000年1月に立ち上げようと思っているTurboLinuxのパートナープロモーターとは、分けることになると思います。ただ、両方とも参加できるようにしますけども。それぞれのノウハウ、レベルに合わせた形で分けます。
[アスキー] クラスタリングシステムを構築しようとするときに、たとえばお客さんのシステム要件を満たすための構築ノウハウといいますか、コンサルティングもTurboLinuxさんのほうでは提供されるのですか?
[Aaron K.Mckee氏] はい。日本の状況は違うのかもしれませんので、米国の状況についてお話しします。お客様はいろいろなルートでボックス製品を購入されるわけです。そのボックス製品をお買いになったお客様は、たとえば電話やメールを通じてサポートを受けられます。我々は、Santa Cruz Operation(SCO)というところとパートナーシップを結んでおります。彼らは、UNIXに関しては24年の経験、それからクラスタリングに関しては5年の経験を持っておりますので、彼らと組むことによって、より優れたサービスを提供できると考えています。たとえば、お客様のネットワークを見ていただいて、クラスタリングがお客様のソリューションとして適しているかどうかを判断し、そして、適しているということになったら、何が実際に必要なのか……実際にクラスタを実装することもありますし、アプリケーションを提供することもありますし、お客様にエンジニアリングのサービスを提供することもあります。それと同時に、Linuxcareというところとパートナーシップを組んでおります。そこでは週7日、24時間体制でサービスが提供されています。米国では以上のようなサービスを提供していまして、日本でも多分そのようになると思います。パートナーシップというのは非常に重要なことだと思っております。
[ターボリナックス ジャパン] こうした方法は、日本ではまだ根付いておりません。では、結局、日本でのビジネスモデルはどういったものがあるのか、そこの部分を説明します。そのために、「マーケティングエンジニア」というポジションを作りました。この人たちを、TurboCluster Serverを実際に販売できるようなスキルまで引き上げたうえで、実際のお客さんのところに行くというところから始めたいと思います。そのあと、実際に提携できるパートナーがいらっしゃいましたら、一緒にビジネスをすすめていこうというところが(日本の)状況です。
[Aaron K.Mckee氏] 先ほどの質問に1つ追加させていただきたいと思いますけれど、Santa Cruz Operationとのパートナーシップは、ワールドワイドで提供されますので、たとえば、お客様がモンゴルにいようと、日本にいようと、ナイジェリアであろうと、喜んでコンサルタントを提供してくれると思います。TurboLinuxを通じて、日本のお客様にもサービスが提供されます。
[アスキー] TurboLinuxやTurboCluster Serverに、「こういうシステムでは、ここまでの性能は保証します」というような性能(パフォーマンス)の保証はしていらっしゃいますか?
[ターボリナックス ジャパン] 保証はいたしません。できません。ただ目安としてベンチマークのようなものは出していこうと思っています。
[アスキー] モデルケースといったものは?
[ターボリナックス ジャパン] できます。目安はできますが、保証まではできません。
[アスキー] 開発体制についてお聞かせください。現在、何人ぐらいの体制なのでしょう? 開発はおもに米国ですか?
[Aaron K.Mckee氏] クラスタリングのソフトウェアの開発に限れば、だいたい10人ぐらい、OS(TurboLinux)の開発に関してはだいたい70人ぐらいの人が携わっております。それから、ローカライズには90人が携わっております。それぞれが重複した形で仕事をしている場合もあります。かなりの人たちが最終的なコアプロダクトの開発に携わっています。開発を行なっているのは、米国のSan Francisco、日本では東京、さらにヨーロッパなどで開発を行なっておりますので、かなりグローバルな会社ということになります。
 クラスタリングのコンフィグレーションツールに関しての研究は、中国およびサンフランシスコで行なわれております。そのほかの製品の開発に関しては、日本、中国、それから米国で行なわれています。TurboLinuxという製品自体は東京が発祥地ですから、かなりの部分の研究は東京で行なわれました。
[アスキー] TurboCluster Serverのローカライゼーションですが、主にどういった作業が入ってくるんでしょうか?
[Aaron K.Mckee氏] 最初のバージョンに関しましては、マニュアルの翻訳しかできません。その後のバージョンに関しましては、まだ計画中ですが、インストーラの部分を日本語化することも一応考えています。しかし、たいして意味がないと思っています。TurboLinuxは、全世界的に商品の一元化を図りたいと考えています。現在は、日本語版、英語版、中国語版など、それぞれが少しずつ違った形で開発されているわけですが、2000年の中頃までに全世界的に商品の統合、一元化を図りたい。そうすることによって、日本語・英語・中国語版というローカライゼーションが、それほど重要なものではなくなってくると思いますし、作業もそれほど必要にならないと思います。2バイトキャラクタに関してもサポートをしていけるようにやっているところです。クラスタリングの製品に関しては、2000年の中頃までにはもう少し、ユニファイドされたコードが提供されるということになります。
[アスキー] それはクラスタ以外の製品でも、普通のパッケージでもそうですか?
[ターボリナックス ジャパン] もちろんそうです。
[アスキー] 最後に質問させていただきたいのですが、TurboCluster ServerのWebベースの管理ツール「TCSWAT」はSambaのSWATと非常に似ていると思うのですが?
[Aaron K.Mckee氏] (にこにこして)はい、SWATと似ている理由はあるんですね。SambaチームのJohn TerpstraさんはTurboLinuxの副社長でもありますので、その関係で。お客様に対しましても、Windowsライクなものを提供したいと考えております。今後は、TCSWAPは使わずに、もう少しリッチなアプリケーションを提供していきたいと考えております。
[アスキー] 本日はありがとうございました

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