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Linux Conferenceで、Linux版「一太郎Ark for Java」のデモを公開

1999年12月20日 00時00分更新

文● 高柳政弘

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 横浜市のパシフィコ横浜で17日に開催された“Linux Conference '99”において、(株)ジャストシステムの山本哲男氏による「LinuxとJavaによるデスクトップアプリケーションへの挑戦」と題された講演が行なわれた。LinuxとJavaを融合したソフトについての関心が高かったためか、盛況だった。

ジャストシステムの山本氏
ジャストシステムの山本哲男氏

 まず、山本氏は「一太郎Ark for Java(以下一太郎Ark)は、日本語、英語のほか、中国語や韓国語、フランス語などさまざまな言語に対応した、マルチリンガルなワープロソフト」と説明した。さらに、「XMLとJavaを融合したソフトであることに加え、Java言語のみで開発された100%Javaアプリケーションソフト」だとアピールした。これにより、Windows、MacOS、Solaris、Linuxなどマルチプラットフォームに対応が可能となっている。Windows 98/95/NT 4.0およびSolaris 7/2.6/2.5対応の「一太郎Ark for Java」は、12月3日に発売されている。希望小売価格は9800円で、実売価格が6000~7000円。なお、このプレゼンテーションとデモでは、Linux版の「一太郎Ark Technical Preview版(体験版)」が用いられている。ディストリビューションは、TurboLinux 4.0。そして、山本氏は「一太郎ArkがJava環境で動いている、Linux上でも動いていることが重要なポイント」だと強調した。

 次に、山本氏は「一太郎Ark for Java」のコンパクトさについて説明した。一太郎Arkのプログラム本体は1.3MB。このサイズは、大半のネットワークで配信しても耐えられる容量だと、コンパクトさをアピールした。

 続いて、山本氏は「表面の見え方は従来のワープロと同じだが、中味は全然違う」と強調し、一太郎Arkの内部構造を次のように説明した。一太郎Arkでは、文書構造がすべてオブジェクト化されており、W3C(World Wide Web Consortium)仕様に準拠したDOM(Document Object Model)エンジンを搭載している。DOMエンジンは、文書データを管理/操作するモジュール。

 また、一太郎Arkの機能もオブジェクト構造になっている。機能を備えたモジュールである“プラグイン”を装備することで、その機能の利用が可能となる。印刷やヘルプなどの機能もプラグインで提供され、ユーザーが必要な機能だけを拡張できるのも特徴の1つ。さらに、一太郎の“ESCメニュー”に使い慣れたユーザー向けに“ESCメニュー”のプラグインも用意されている。そのほか、中国語や韓国語などの言語フォントもプラグインで用意されている。言語フォントを追加することにより、テキストの表示以外に、メニュー表示なども対応した言語に変更されるため、「その国のワープロに変身することができる」と力説した。これは、Java 2 SDK 1.2.2対応のJava実行環境モジュール“JRE(Java Runtime Environment)”の搭載により可能になったという。現段階において、Linux版では、文字フォントを表示できるが、印刷までは対応できていない(Windows版では印刷も可能)。

 一太郎Arkの標準文書フォーマットはXHTMLを採用している。これにより、HTML 4.0のタグと、ユーザーが定義するタグを使用することができる。サポートするファイル形式は、以下のとおり。

  • HTML 4.0(読み込み/保存可)
  • XHTML 1.0(読み込み/保存可)
  • テキスト(読み込み/保存可)
  • 一太郎Ver.5~10(読み込み可)
  • Microsoft Word Ver.6/95/97/98/2000(読み込み可)
  • RTF(読み込み可)
  • Zip圧縮テキスト(読み込み/保存可)
  • Zip圧縮HTML 4.0(読み込み/保存可)
  • Zip圧縮一太郎8~10(読み込み可)
  • gzip圧縮テキスト(読み込み/保存可)
  • gzip圧縮一太郎8~10(読み込み可)

 山本氏は、Solaris 8版のATOK Serverを移植したパッケージ「ATOK Server for Linux」の開発を2000年4月以降に開始する予定だと語った。さらに、今後の予定として「一太郎Arkに、表計算ソフト(Excelなど)のデータを入れて、その計算結果をXMLで表示するといったアプリケーションの開発を考えている」と述べ、講演を締めくくった。

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