11月12日、13時30分から、国際会議場(幕張メッセ内)において、レッドハット(株)代表取締役、平野正信氏の講演「Red Hatのエンタープライズ・ソリューション」が行なわれた。レッドハットは、11月12日より「公認Red Hat 6.1 日本語版」を発売している。
講演の内容は、「Linuxとは何か」、そして「レッドハットが何をビジネスとしていくのか」だった。
Red Hatのビジネスについて語る。レッドハット(株)代表取締役、平野正信氏 |
まず、Linuxの発音から始まり、その歴史、現在の開発方法、そしてその状況という、Linuxについての一般的な説明があった。そして、カーネル2.4の新しい機能について、「プラグ&プレイのサポート」、「Motifのサポート」といったものを挙げた。
Red Hat Linuxの特徴
そして、Linuxとは、カーネル(Linuxそのもの)とGNUのツールなどのフリーのコマンド群、そしてX、BSDのネットワーク機能を組み合わせたものであることを説明した。そして、Red Hat Linuxの特徴として、RPM(Red Hat Package Manager)、GNOME、インストーラを挙げた。
インストーラについては、今回のRed Hat Linux 6.1ではX Window systemを使いグラフィカルでわかりやすいものになったという。例として、タイムゾーンを決定する際に、世界地図を表示し、自分のいる場所をクリックすることにより、選択することができるようになったことを挙げた。
さらに、6.1で新たに追加された機能として、自動的にソフトウェアのアップデートを行なうアップデートエージェント、LDAP、RAIDのサポート、インターネット接続のためのタイヤルアップの改善、そして、ハードウェアの自動認識も強化されていることを挙げた。
Red Hatのビジネスはサポート
しかし、今まで挙げてきたことは、すべてフリーソフトの話であり、「無料のソフトウェアをパッケージングして、売っていても、ビジネスにはならない」という。
では、Red Hatは何をビジネスとするのか。
Linuxの導入において、ソフトウェアそのもののコストはかからないが、「誰がサポートを行なうのか」という問題が発生する。たとえ、外部のSIベンダーなどに頼まなかったとしても、コストはかかる。また、ERPのようなソフトウェアを例に挙げ、ソフトウェアを導入する際には、そのものの金額だけではなく、そのあとのサポート、メインテナンスのほうが大きなコストとなる、とした。
そして、多くの大企業がLinuxのサポートを求めている。そして、それらの企業がRed Hatに対し出資、もしくはRed Hatと戦略的な提携をしている。それは、商用のソフトウェアとフリーソフトを組み合わせてビジネスをすることが困難なため、大企業がRed HatにLinuxのサポートを求めているためである、とした。
そして、レッドハットのサポートメニューを挙げた。さらにサポートは、オープンソースコミュニティとの連係、バグフィックス、次期バージョンの反映などを考えると、Linuxベンダーがやるべきだとした。ただし、サポートに関してはソリューションのノウハウが重要なので、SIベンダーと連携した、という。
実際のOSの技術面に関しては、世界中のコミュニティの力で良くなっていくので、Red Hatとしてはサポートとサービスをビジネスとしていく。そして、レッドハットのビジネスモデルはLinuxビジネスのデファクトスタンダートになる、とした。
最後に、「オープンソース化は、急速かつ確実に進む」、そして「Linuxビジネス成功の鍵はサポートである」と結んだ。
講演終了後に、会場からの質問を受けつけたところ、「Red hat Linuxと他のディストリビューションとの違いは何か」という質問があがった。
それに対し、平野氏はまず、サポートを構築するための資金力を挙げ、ディストリビューションの違いを強調する戦略はない、とした。そのため、アプリケーションなどは添付しないが、オープンソースコミュニティとの関係を密接に取るということによって、一番最初に安定した新しいカーネルを出していく、という。したがって、他のディストリビューションは逆に、アプリケーションに強い、デスクトップに強いといった、特徴を出してくるだろう、と語った。