機材の導入とともに昨年(1998年)末から徐々にネットワーク機器やクライアントマシンの設置を行なっていった。クライアントは管理の手間を考えて、ハードウェア構成、アプリケーション等のインストールパス、各設定等も共通にした。今年の2月からは、一部で試験運用を開始。運用などについて、さらに詰めた論議を行ない、5月から本格運用に入っている。
現在運用中のイントラネットの概念図は、図1のとおりだ。メインフレームによる基幹系システムとは別に、情報系ネットワークとして日赤中央血液センター内で構築されている。主業務、支援業務の独立した3つのEthernetのネットワークを統合することで、全体が構成された。各ノード間に設置されたゲートウェイは、IPルータとして機能するほか、ネットワーク間のパケットフィルタリングを行なう内部ファイアウォールとしての機能も備えている。これは無駄なパケットを他のネットワークに流すのを避ける一方、3つの独立したネットワークで今まで利用されてきた業務用のサーバや機器へのアクセスを制限するという役割もある。なお、インターネットへは、ディジタルアクセス128によって接続されている。
図1 中央血液センターのイントラネット概念図。骨髄センター(100BASE-TX)をのぞいて、10BASE-TのEthernet環境になっている |
サイボウズOfficeが稼働するイントラネットサーバ、インターネット系のサービスやファイアウォール、そしてゲートウェイなどのサーバは、全てBSD系のPC UNIXで構成されており、ファイルサーバのみWindows NTが採用されている。
写真1 サーバルームに設置されているサイボウズOfficeが稼働するコンパックのPCサーバ |
また、渋谷と新宿に設置されている5箇所の献血ルームともISDN経由でWAN接続されている。各献血ルームに設置されたノートPCからイントラネットで共有された情報にアクセスすることができる。WAN接続にはリモートアクセスサーバではなく、高機能と低価格を実現しているコンシューマ向けISDNダイヤルアップルータを利用した。
写真2 ヤマハのダイヤルアップルータで都内5カ所の献血センターとWAN接続されている |
システム構築コストに関しては、やはり自前で構築した点、PC UNIXの導入、低価格なPC本体とアプリケーション、店頭売りのダイヤルアップルータなどを採用した点が大きい。インテグレータに委託した一般的なシステム構築に比べ、かなり低価格に押さえられているのは間違いないだろう。技術的にUNIXに精通していた点も早期導入の鍵になっているようだ。