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月刊 ASCII network PRO編集長インタビュー

1999年10月24日 00時00分更新

文● 吉川

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 ネットワークテクノロジーを総合的に扱ってきたアスキーNTから、ASCII network PROへ。新装刊でなにが変わるのか、今後の展開を含め、大島編集長にインタビューした。

大島編集長写真
月刊ASCII network PRO 大島伸一編集長

[日刊 アスキー] まず、雑誌の大まかなイメージからお願いします。

[大島] 気軽にネットワークの知識を身につけられる雑誌として読んでもらいたいですね。常にネットワークのトレンドを追いかけたい人もぜひ、読んでいただきたい。ネットワークそのものの技術もあるし、OSもあるし、ビジネス的な動きの話題もあります。そのあたりを総合して記事を作っていくので、特別知識を持っていなくても、気軽にネットワークのトレンドを理解できる雑誌を作っていきます。

[日刊 アスキー] 「仕事に使えるネットワーク活用・情報誌」というキャッチですが。

[大島] 基本的には仕事を前提にしたユーザーをターゲットにしています。
 ネットワークに仕事で関わっている人は、深い知識を持っている人ばかりではなくて、いわゆる「にわか管理者」と呼ばれているような、たまたまネットワーク管理者になってしまった人が大勢いると思うんですね。
 しかしそれにしては、今までのネットワークの雑誌は、読者に知識があることを前提にして作られているパターンが多かったと思います。知識が十分ではない人が、あまりフォローされていなかった。ASCII network PROでは、そういう人でも、読んで理解できる誌面づくりを心がけていきます。

[日刊 アスキー] ターゲットをもう少し具体的にいうと、部門サーバの管理者やSOHO管理者、そして、プロシューマと呼ばれる人達も入る?

[大島] そうですね。これはうたってはいないけれども、個人的に私が考えているのは、普通の個人ユーザーでも読める雑誌という形も含めていきたいなと思っています。
 たとえば月刊アスキーであれば、Windows 2000の記事ではProfessional版までしかやらないだろうけれども、ウチの場合はServer版も扱って、ネットワーク環境でどういったことができるのか、といった点を含めてやっていこうということです。
 われわれの守備範囲としては“network”ということで、Windows 2000、NT、Linuxといったところから、TCP/IPなどのネットワークの基礎の部分、そしてビジネス的な動きなどを取り混ぜてやっていきたいですね。
 スタンスとしては、ネットワークの雑誌なので、Linuxもあるし商用のUNIXもあるといった状況で、どのようにネットワークをうまく運用していこうか、という話になってくると思うんです。ただ、現在の読者はWindows NTのユーザーが多いので、来年はWindows 2000の話が中心になってくるかな。

[日刊 アスキー] いままでお話していただいたテーマが、記事となって実際に誌面を構成しているわけですが、各コーナーの紹介をお願いします。

[大島] たとえば特集2の「NTドメイン超整理法」ですね。Windows 2000で実装されるActiveDirectoryは、今までのNTドメインとは管理方法が変わってきますよね。それで、Windows 2000になったらどういう風にネットワークを管理すればいいのか、といったテーマで記事を作っています。これは仕事場におけるネットワークを前提にして記事を作っていまして、なおかつWindows 2000を視野においた場合、今後どのようにネットワークを管理していったらいいのかを整理しているわけです。この記事に従ってネットワークを整理していけば、Windows 2000になったときに、Windows 2000にマッチした管理ができますよ、ということですね。

[日刊 アスキー] 連載はどうですか?

[大島] たとえば、「そこはLinuxを使うでしょ!-NT管理者のためのLinuxネットワーク実践講座」という記事があります。いままでNTでネットワークを構築していたけれども、部分的にでもLinuxを導入したほうがいいケースがあると思います。こうした状況を踏まえて、読者がNT管理をやっているという前提をもとに、Linuxネットワークの初歩的なところを説明する記事なんですね。NTはNTのいいところが、LinuxはLinuxのいいところがあると思いますので、そこをはっきりさせつつ、Linuxのいいところをどうやって使っていこうか、というところを初歩のレベルから説明していくといったものです。
 ほかにも、ネットワークをこれから勉強していこうという人には、「ホップ・ステップ・ネットワーク」がありますね。これは、キャッチにも「ある日、突然、ネットワーク構築をまかされてしまったら……」とあるように、ネットワークとはそもそも何か? 何を買ってきたらいいのか、といった話題が載っています。

[日刊 アスキー] この記事には、今月の「文系人間にもスッキリわかる講座」といったコラムもありますね。

[大島] そうそう。それから、わりと小規模ネットワーク向けのネタもやりたいと思っているので、「SOHO通信」というページもありまして、このあたりも雑誌の性格を表わしているかな、と思います。

[日刊 アスキー] 特集・連載と充実していますが、転じてニュースに関してはどうですか? 今月はターボリナックスジャパンのCliff Miller氏のインタビューなどが掲載されていますが。

[大島] ニュースに関しては、基本的にはビジネスマンが読む雑誌なので、ビジネスマンが読めるレベルのものを、と考えています。あまりニュースを子供向けみたいに書いてしまうと、みなさん抵抗があると思うんですね。ですから、普通の、たとえば日経新聞を読むようなレベルで読める記事を作っています。

[日刊 アスキー] どのあたりにそういった姿勢が現れていますか?

[大島] たとえば、ネットワークでホットな部分をキャッチアップしてインタビューしたり、ニュースの裏側を解説したりといった形ですね。今月は「低料金化が進む専用線接続サービス」といったテーマを取り上げているのですが、いわゆるビジネス用語の解説まではしていない。それに、NTTが郵政省の管轄にあって云々、といった事項は、読者がすでに知っている、という前提で書かれています。

[日刊 アスキー] 今後は?

[大島] これからしばらくはWindows 2000を中心にいろいろなネットワークの話をしていこうと思っています。

[日刊 アスキー] Windows 2000の話の中でも、たとえば「ここの部分はLinuxのほうを使ってみよう」といった話は出てくるのですか?

[大島] 出てきます。もちろん、Windows 2000を検証したうえで、ということになりますが。ほかにも、たとえば、現時点ではWindows 2000は登場していないので、NTということになりますが、「NTが落ちないための10の条件」といった記事展開もあると思います。常に現場で活かせるようなネタを提供していきたいと。アーキテクチャが今後どうなるか、といった話ではなくて、「今」活用するにはどうすればいいか、といった話ですね。
 次号でも「Free&Shareネットワーク管理ツール100本」ということで、付録小冊子とCD-ROMとの連動で、Windows/Linuxで使えるツールを紹介するなど、すぐに使える企画を考えています。4月以降は、「はじめてシリーズ」みたいな形で、たとえば「はじめてのTCP/IP」のような記事を掲載して、常にこれからネットワークに関わろうとう人たちを意識した誌面を作っていきます。

[日刊 アスキー] CD-ROMは毎号付くのでしょうか?

[大島] 付きます。Windows NTのService Packが入るときもあれば、ディストリビューションが入るときもあります。そして、次号ではツールが100本、といった具合です。

[日刊 アスキー] ライバル雑誌は?

[大島] ないと思いますよ。

[日刊 アスキー] ありがとうございました。

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