昨年末、Internet Weekのために来日したSendmailの開発者Eric P.Allman氏が、最新版であるSendmail 8.12や、新しいアーキテクチャを用いて開発されているSendamil 9について語ってくれたので、そのようすをお伝えしよう。
Sendmailの開発者Eric P.Allman氏
現在我々はSendmail 8.12を開発中で、2001年早々にリリースする予定です。ただ、1月か、2月になるのかはわかりません。8.12で重要なのは、内部的な変更で、2つのポイントがあります。
まず1つ目が、メモリ管理の強化です。これによって、フォークの数を格段に減らすことが可能となりました。
2つ目はI/Oサブシステムの部分に新しいI/Oライブラリを用意したことです。これによって、あるタイミングにおけるディスクI/Oを減らすことができ、プロセスの最中にディスクへの書き込みを行なわなくて済むようになりました。
以上の2点以外にも、メールフィルタのインターフェイスを用意したことも大きいですね。これは、ある特定の機能をプラグインで追加できるようにしたものです。この仕組みによって、アンチウイルス機能やスパム管理機能などを、プラグインとして付け加えることができるようになりました。
それから、キューの管理をよくすることでパフォーマンスも向上しました。パフォーマンスに制限が加えられるのはキューが大きくなってきてしまうことです。Sendmailではすでに、8.10からマルチキューイングに対応していましたが、8.12ではセマンティックスの異なるマルチキューイングができるようにしました。これによって、「あるキューはAOL専用」といった切り分けをして、ほかのキューとは異なるタイムアウトなどを設定することが可能になったのです。
さらに、エンベロープを分割することも可能です。たとえば巨大なメーリングリストを運用していてメールを受け取る人が多くいる場合、エンベロープを分割して並列処理をすることによって、より速くメールを送ることができるのです。
8.12が今後実装する予定の機能としては、SMTPのパイプライニングが挙げられます。これは、複数のSMTPコマンドを1つのTCPブロックに収めて、TCPのラウンドトリップタイムを抑えようというものです。
以上が8.12の特徴です。