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『プログラミングLinux』

1999年10月15日 00時00分更新

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『プログラミングLinux』

著者 Michael K. Johnson/Erik W. Troan

訳者 株式会社クイック

アスキー、ISBN 4-7561-2044-X、5800円(税別)

 Linux本は巷にあふれていますが、いざLinuxでのプログラミングの本を探すと、きわめて少ないことが分かります。LinuxあるいはPC-UNIXはプログラム開発環境としてきわめて優れていると言われますが、プログラミング関係の本の少なさを考えると、開発に使えるのかと疑う人がいても不思議ではありません。また、Linuxをインストールしたけれど、その後何をやっていいのか分からない人もいるようですが、これもプログラミング関連の本の少なさが原因でしょうか。

 Linuxブックストアには100冊余りの本がリストされていますが、Linuxプログラミングの本は2冊だけ、プログラミング関連が書かれているものを含めても数冊増える程度で、とても惨めな状態です。amazon.comでキーワードとしてLinuxとprogrammingを指定して検索すると、31冊も見つかりました。1桁違いますし、そもそも和書といっても翻訳ですから、日本と世界の情報格差はどうしようもないようです。Linuxでプログラミング関係の本を探すなら、洋書の中から選ぶのがよろしいようです。

 でも、どうしても日本語で読みたい、英語では疲れるという人も大勢いると思われるので、Linuxプログラミングの訳書を1冊紹介します。1年近く前に出た本で、ほかにこの種の本は見当たらなかったという理由で、無条件に入手しました。Linuxで実際的なアプリケーションを書こうとすると、どうしてもLinuxシステムにからむ部分がでてきます。プロセス、シグナル、ソケットなどを、Linuxではどのようにコーディングすればよいのかの基本を知るには、便利にできています。

 しかし、ページ数もそれほど多くない本で、Linuxのプログラミング全般について書こうとしているので、守備範囲は広いのですが、あまり深く書いてはいないし、プログラミング例も決して多くはありません。まずこの本で当たりをつけて、それからインターネットで探すというのが効率のよい調べ方でしょう。章が細かく分かれていて、章の内部もかなり独立性の高い分け方になっているので、問題にぶち当たったときに調べるには便利です。

 Linuxインストール本はもう余っているので、Linuxプログラミングの本を書く人が出て欲しいですね。

藤原博文

プロフィール

藤原博文

パズルを解くためにTK-80などに手を出したが、BASICの低速性が気に入らず、ついコンパイラを作ってしまった。それ以降はソフトウェアの世界から足抜けできなくなり、逆にパズルをする暇がなくてストレスが溜っている。UNIXはVAXの頃から使い始めすでに20年近く、Linuxは4年前より日常的に利用している。ホームページはhttp://www.pro.or.jp/~fuji/

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