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LinuxWorld Expo/Tokyo'99に思うこと

1999年10月15日 18時49分更新

文● テンアートニ 佐藤栄一

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 多くの企業で、平成11年度上期が終了しました。Linuxは、「盛り上り」というか「熱狂的ブーム」に近い状態でした。ちょうど、上期を総括するように9月29日(水)から30日(木)まで、東京ファッションタウン(有明の臨海副都心)でLinuxWorld Expo/Tokyo'99(本コラムでは略して「LWET99」とします) が開催されました。展示内容の詳しい解説は、日刊アスキー Linuxの「特集」に譲って、もっと別な観点からLWET99を振り返ります。

 当然、今年の3月18日(木)~19日(金)に東京国際フォーラム(有楽町)で開催されたLinuxWorld Conference Japan '99 (本コラムでは略して「LWCJ99」とします) と比較せずにはいられません。私は、個人的には、今の盛り上がりを決定付けたのがLWCJ99と思っています。予定来場者数3000人に対して、実際の来場者数が9529人と、目標の3倍は驚異的です。イベントの企画は半年前から行なっているので、その時点では、3000人の来場が予測の範囲でした。ふたを開けると予測をはるかに上回り、通勤ラッシュ並みの賑わいとなりました。この光景は、広く世間に「Linux」を大きく印象つけました。

 LWCJ99では、有楽町という好立地条件に恵まれ9529人を集客しました。LWET99では、1万4593人を集客しました。この数字の捉えかたはさまざまです。私の主観では、期末という最も避けるべき日程で、有明というハンデにもかかわらずよく健闘したしたと思います。東京ビックサイトや幕張メッセなどで行なわれるイベントにあと一歩のところに迫りました。

 出展社数はどうでしょうか。LWCJ99では58社でした。LWET99では、77社と増加しました。この増加は、あまり重要ではありません。どちらかというと“メーカー”と呼ばれる企業が出展している点が注目されます。また、1社のブースが大きくなっているのも見逃せません。資本力を持った企業が参加するようになった証拠です。

 会場を見ると2つの傾向を感じます。1つは、特徴のあるサーバハードウェアが目立ようになりました。ハードウエア選択として、ホワイトボックスや既存メーカー機にLinux専用機が加わった形です。

 2つ目は、サービスを強調する傾向です。ハードウェアを切り離して、インストールサービスのみを行なうベンダーも見られます。また、単独のサービスとして、サポート/ヘルプデスクを有償で行なうベンダーもありました。

 どちらにしても、ある意味での行詰りを感じました。ジャンルに関係なく、具体的なアプリケーションソフトウエアの供給が待たれます。

 さて、来年の話をすると鬼が笑いますが、もうすでに次回のLinuxWorld Expo/Tokyo 2000が動き出しています。ついにイベントの殿堂、東京ビックサイトにて5月11日(木)から12日(金)に開催します。ここで、ペンギンは、笑えるでしょか。

テンアートニ

プロフィール
 創立記念日は、Javaが発表された5月23日。1社独占のパソコン環境を、エンドユーザー主導へ導きます。創立してやっと3年目、JavaやLinuxを大学で経験した超若手から、彼らが生まれる前からコンピュータ業界にいる超ベテランまで、多種多様な人間であふれています

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