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Open Your Eyes

1999年10月08日 00時00分更新

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 ちょっとサボっていたら、妙に忙しくなって1カ月以上の間が空いてしまった。ごめんなさい。さて、今回からオープンソースのビジネスにおける有効性について考える。

 オープンソースのメリットとして、しばしばソースコードを誰でも自由に変更できることが第1に挙げられているように思われる。既存のオープンソース支持者の多くは技術者であるから、そのメリットを十分に実感もしているであろう。

 しかし、一般のビジネスユーザーにとっては、ソースコードが公開されていようが、直接のメリットはない。プログラムを組むつもりがまったくないユーザーが、ビジネスユーザーの大多数なのである。彼らは自らがプログラムを組まずに済むために、よろこんでお金を払うのである。

 そもそも、多くのLinuxユーザーは自分でコンパイルしないで済む選択肢としてディストリビューションの購入を選んでいる。だから、ディストリビューションのビジネスが成り立っているのである。ディス卜リビューションによって、開発者ではない「お客さんユーザー」を受け入れたことが、BSDではなくLinuxにビジネスの可能性をもたらしたきっかけであろう。

 そういう意味では、より多くのビジネスユーザーに、オープンソースのメリットを分かりやすく説明するには、「誰かが変更・修正してくれた結果にタダ乗りできるんですよ」という方がマシである。とはいえ、正常なビジネス感覚をもっている人なら、タダ乗りと聞くと何かうさんくさいと思ったり、頼りないと思ったりするだろう。

 また、ビジネスユーザーが本当に必要としているものが、オープンソースの中で必ず実現する保証がないのも問題である。というのも、オープンソースの開発者の多くが必要と考えるものと、ビジネスユーザーが必要と考えるものが合致しない可能性が常に在るからだ。オープンソースの開発者の多くは、自己実現のためにプログラムを書くのであって、他人のビジネス要求を充足させるためではない。

 このような状況で、ビジネスとして求められてくるものについては次回触れることにする。

樋口 貴章/ひぐち たかあき

プロフィール
1961年生まれ。今を去ること約15年ほど前、インターフェースの別冊付録「UNIXの世界」に書かれていた「UNIXの国のアリス」(萩谷昌己著)を読んでUNIXに興味を抱く。以来、体にしみついたコマンドラインは手放せないvi派。サン・マイクロシステムズ(株)ディベロッパープログラム推進部勤務。日本Linux協会事務局長、日本インターネット協会幹事、UBA(オープンシステム推進機構)Linux部会長、Javaカンファレンス幹事。

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