このページの本文へ

(株)ジャストシステムによる「ジャストシステムのLinuxアプリケーション戦略」ワークショップ概要

1999年10月01日 11時52分更新

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 9月29日から30日に、東京ファッションタウンで行なわれたLinuxWolrd Expo/Tokyo '99では、(株)ジャストシステムによる「ジャストシステムのLinuxアプリケーション戦略」と題したワークショップが行なわれた。

説明を行なった、ジャストシステム 営業企画室 Java/Linux関連プロダクト ビジネスオーナー 鈴木研祠氏

ATOK12 SE for Linuxの取り組み

 ワークショップではまず、解説者のジャストシステム営業企画室 Java/Linux関連プロダクトビジネスオーナーの鈴木研祠氏が、現在TurboLinux 4.0やLASER5 Linux 6.0にバンドルされているATOK12 SE for Linux(以下ATOK12 SE)への反応について、Windows版を使っていた既存ユーザーに驚かれたこともあった反面、好意的な意見が多数寄せられている、と語った。

 そのあとLinuxにコミットしていく経緯が紹介されたのだが、ジャストシステム内では、1年半ほど前から「Linux」という単語がよく聞かれるようになったとのこと。もっともその前から技術者たちは注目していたのだそうだ。そしてLinuxの日本語環境に参入する。そのときに決めたのが、「ジャストシステムだけの独自仕様はやめよう」ということ。そこで、kinput2を利用し、辞書と変換エンジンをLinuxに移植することになったという。こうしてできたのがATOK12 SEである。

 ATOKシリーズの特徴として、複数の辞書を同時使用できるといったメリットがあるが、ATOK12 SEも、Windows版と同じく、システム辞書とユーザー辞書、郵便番号辞書を付けている。現在、X上のアプリケーションでは、ほとんど問題なく使用できるが、Muleの場合はオプションを付けないと使用することができない。ただし、このオプションの付け方はWebにて公開しているという。

 ほかの日本語入力システム同様、Shift+スペースキーでATOK12 SEが起動するわけだが、Windows版のATOKしか知らない人からは「この“あ連R漢”というのはなんだ? 」といった質問や、「“あ連R漢”をクリックしても設定変更などの操作ができないのだが」といった意見が寄せられたという。これは、Windows版のATOKシリーズでは、デスクトップ上に独立した形でATOKのバーが表示され、それをクリックすれば、かな入力とローマ字入力の変換やプロパティ変更ができるのに対し、ATOK12 SEでは単なるインジケータとしての役割しか果たしていないことに対する意見である。そのあと、、プロパティ変更に関しては、「atok12prx」というコマンドでプロパティシートを表示できるので、そこから変更できることをデモンストレーションした。

 現在ATOK12 SEでは、一通りの機能は実装しているのだが、上記のようなユーザーインターフェイスを使いやすくするのが課題だという。変換効率や辞書については、自負を持っているとのことだ。

 ただ、Windows版ATOKと比べ、実装できない機能も存在する。たとえばATOK12で実現されている、単語の頭の数文字を入力してTabキーを押すと、残りの文字が補完される機能や、ATOK13のデスクトップ全画面を使った手書き文字認識機能などだ。「逆に、Linuxだからできる、ということもあるかもしれません」と鈴木氏は言う。鈴木氏のお願いとしては、次に出すLinux版のATOKに、たとえATOK“13”のバージョンナンバーが付かなくても、「やる気がない」と思わないでほしい、とのことだ。機能的に13のバージョンナンバーを付けないことはあり得るが、「決して真剣にやっていないわけではないので」と強調した。

 「Linuxならでは」という面では、“ATOKサーバ”というものを考えているという。ジャストシステムでもコンセプト自体は以前からあったのだが、UNIX的な存在であり、サーバとして数多く使われているLinuxにATOKが対応したことによって、現実味を帯びてきた。この仕組みでは、クライアントにWindowsを使うことも可能になる。

一太郎Ark for Java

 現在一般に配布されている一太郎Ark for Java(以下一太郎Ark)は、テクノロジープレビューだが、製品版はぜんぜん違うものになっているという。ワードプロセッサとしての構造をチューンアップし、起動スピードも上がっているそうだ。予定価格は9800円。

 一太郎Arkは、保存形式にXHTML、HTML、XMLのほか、一太郎10フォーマットを特定の場合を除いて、文字の属性も含めて読み込むことができる。特定の場合とは、たとえばWindows上の一太郎10がOLE(Object Linking and Embedding)を使い、表計算ソフトの一部分などを文書中に張り込んでいた場合だ。さすがにLinux上でOLEを再現するのは難しい。ただし、画像の読み込み程度であれば、大丈夫という。アニメーションGIFも対応可能だ。

 一太郎Arkは、一太郎特有の「エスケープメニュー」も装備している。これは、エスケープキーを押すことによって編集その他のメニューを表示するもので、DOS版の一太郎では標準的な操作方法で、要望も多かったのだそうだ。もちろんエスケープメニューをオフにすることもできる。このエスケープメニューは、「プラグイン」によって実現されている。プラグインは、一太郎Arkから呼び出せるソフトウェアモジュールで、ユーザーが好きな機能を作りプラグインとして付け足していくこともできる。ジャストシステムでは、誰もがプラグインを作ることができるように、インターフェイスをサンプルソース付きで公開する予定。

 ファイルフォーマットに関しては、「XMLに対応するのが1つの方向」という。XMLのURIやDTD追加もできる。
 一太郎Arkは、既存の一太郎シリーズのリプレイスよりも、先進的な機能の実装に重きを置いている。たとえば、WYSIWYGを実現するよりも、XMLの採用などによって構造化がしっかりしたものを作ることができるようになっている、といった具合だ。

 国際化についてだが、すでに国際化が1つの指針となっているJavaの上で動作するということで、一太郎Arkもかなり進んだ対応をしている。たとえば、フォントの設定だけすれば、そのままハングルで文書を作成することが可能だったりという具合だ。国際化で実現されないのが、右から左に文字が書かれるアラビア語と、隣の文字との重なりで意味を表現するタイ語である。

Webによるコミュニケーション

 ジャストシステムでは、技術情報を外に出していく体制を、社内で整備しているという。Web上では、一太郎ArkやATOK SEの、Linux上における使用上の注意や裏技を公開していくという。JavaがLinuxに正式に対応したら、そのときにはすぐにジャストシステムの製品を使えるようにしたいとのことだ。
 ワークショップ中、「よく質問されるのですが」という言葉がことあるごとに出てきた。今までユーザーから寄せられた意見や疑問、問題点に、少しでも多く回答しようという姿勢が印象的なワークショップだった。

カテゴリートップへ

ピックアップ