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e-businessを知る

1999年09月29日 06時14分更新

文● 月刊アスキーNT

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「e-business」というキーワードがIBMによって提言されてから、10カ月近くが経過した。e-businessとは、来るべきネットワーク社会へのキーワードだ。ここではまず、e-businessとはいったい何なのか? そしてまた、e-business実現のために、IBMはどのような手段を提供しているのかを紹介する

e-businessのWebページ画像
IBM、e-businessのWebページ(http://www.ibm.co.jp/e-business/home.html)。事例紹介のほか、e-businessに関する用語集も用意されている

e-business 言葉の意味と重要性

 IBMによると、e-businessを端的に表現すれば「オープンでグローバルな広がりの中で、ディジタル・ネットワークを活用して行なわれるモダンな業務行為および商取引全般」ということになる。e-businessの考え方を知ると、その本質とすべての要素を言い表わしている言葉なのだが、「具体的には?」と思われる向きには、ワールドワイドに向けた英語のDefinitionを紹介しよう。

“a marketplace where businesses are using Internet technologies and network computing to securely transform their internal business processes (via intranets);their business relationships(via extranets); and the buying and selling of goods,services and information(via electoronic commerce)”

つまり、端的な言い方をすれば「インターネット、イントラネットを利用した、ビジネスの新しい形態」ということになる。上記の説明で、e-businessとは非常に広範囲に使用される言葉であることがお分かりいただけたと思う。ここで具体例を出すと、Webビジネスの話になると必ず引き合いに出される「AMAZON.COM(画面1)」がe-businessの一例である。Webページによる「バーチャル店舗」、インターネット上の「リンク」、購買情報のみを取り扱い、実際の物流は出版社に任せるといった、「情報流/金流と物流の切り分け」といった要素を考えると、これはまさに「e-business」の典型といえる。ここで「?」と思う方もいるはずだ。AMAZON.COMはIBMがシステムをバックアップしているわけでもないからだ。ここに、e-businessという言葉の汎用性を見ることができる。e-businessは、IBMの製品でもサービスでもなく、あくまでもインターネットによる社会的な変化を指し示した言葉なのだ。

amazone.comの画面
画面1 AMAZON.COM(http://amazon.com/)。本のインターネット販売により、一躍有名になった

 IBMは時代のニーズに呼応する(図1)。IBMが売っているのは、本質的には基幹サーバでもなければソフトウェアでもない。顧客のビジネスを支援し、より強力にするための「ソリューション」そのものである。個々のハードウェアやソフトウェア、サービスなどは、あくまでもソリューションを提供するための手段に過ぎないのだ。顧客のニーズにあったコンピューティング環境を提供することが、IBMのビジネスだといえる。

図1
図1 コンピュータ全体の歩みとIBM

 過去、IBMは、勘定系システムをメインとした「中央集中型(ホストセントリック)コンピューティング」から、ミドルウェアや分散データベースを構築し、勘定系に情報伝達も加えた「クライアント/サーバコンピューティング」へのシフトを行なってきた。これは、中央集中型のコンピューティングからパーソナルコンピューティングへのシフトが行なわれてきた、コンピューティングの世界全体の流れに対応した進化だといえる。

 そして、インターネットである。1995年、IBMはインターネット普及によるビジネスの変化に呼応し、クライアント/サーバコンピューティングに代わる「ネットワークコンピューティング」の概念を提唱、ネットワーク社会に対応すべくソリューションを展開し始めたのである。しかしながら、ネットワークコンピューティングという言葉自体は、経営者に代表される、IBMの顧客となりうる層にアピールするにはあまりにも技術寄りの言葉である。そこで、顧客のビジネスに、どのように便益を与えられるのかを念頭において提唱されたのが、「e-business」なのだ。昨年(1997年)10月に発表されたこの言葉は、インターネットによるビジネス/社会の変化に対応し、新たな業務体系と企業体質への変革を表わすキーワードなのだ。

 まとめる。インターネットの普及によって、ビジネスの形態が明らかに変わってきた。時間や場所といった障壁がなくなり、インターネットを伝わって異業種からいきなりライバルがやってくる。情報の量、速度が圧倒的に増大し、自社の製品が厳しい選択眼にさらされるばかりか、有益な情報の鮮度があっという間に落ちてゆく。既存の金流、物流、情報流に対する考え方が、まったく通用しない世界がやってくるわけだ。インターネット普及後のパソコン業界を見れば一目瞭然だ。インターネットが普及する前は、誰が日々のメモリ価格動向を把握していただろうか? そういった世界に対応したビジネスの実践が、e-businessである。e-businessを行なえば、社会の変化はチャンスになる。時間や場所を超越したビジネス展開や、アグレッシブな情報発信/取得も可能になる。ネットワークによる社会の変化を、脅威にするかチャンスにするのか、e-businessはその分岐点に位置している。

 e-businessという言葉自体は、確かにIBMが創った。だから、単なるマーケティング用語に聞こえるかもしれない。しかし逆に言えば、日々顧客のビジネスに直結した業務をこなし、社会のニーズに敏感(それは直接同社のマーケティングに繋がるから、当然である)な同社が提唱しているからこそ、現在のビジネスシーンをもっとも反映したキーワードであるといえる。

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