このページの本文へ

アスキーより「BSD magazine」発売、編集長インタビュー

1999年09月24日 17時10分更新

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 アスキーは、BSD系OS総合技術専門誌「BSD magazine」を9月28日より発売する。定価は1800円。詳しい内容については、BSD magazineのページを参照してほしい。

 日刊アスキーでは後は発売を待つだけといった鈴木編集長にお話を伺った。

鈴木編集長BSD magazine編集長鈴木嘉平氏

すべてのBSDユーザーに情報を提供したい

[日刊アスキー]  まず、今なぜ、このタイミングでBSD magazineを立ち上げられたのでしょう。
[鈴木編集長] BSDはUNIXの本流として長い間続いて来たのに、なぜか今Linuxの影に隠れたような形になっています。実際にはかなり使っている人も多く、情報に飢えているBSDユーザーも多いのです。そういう人々に対して情報を提供したいというのが刊行の理由です。
[日刊アスキー] BSD magazineの目標とするところを教えてください。
[鈴木編集長] 目標は3つあります。「既存のBSDユーザーに情報を提供しよう」というのがひとつ。次に、「BSDユーザーの数を増やそう」つまり「今まだ、BSDを使っていない人達をBSDの世界に引き込もう」ということです。最後は非常に難しいのですが、「BSDの開発のコアチームに加われるようなプログラマを育てよう」ということです。
[日刊アスキー] では、今号の読みどころはどんなところでしょう。
[鈴木編集長] 1号目は、BSDの現状をまとめよう。という趣旨で作りました。ですから特集1では、「BSDの過去・現在・未来」ということで、BSDがどういう流れで発展してきて、現状どういう状況にあって、これからどこに行くつもりなのか。ということをまとめました。
 特集2はビギナー向けの記事で「インストールのツボ」です。やはり一番つまずくインストールはしっかり扱いたいということです。CD-ROMにもフリーのBSDをつけているので、読者の方にもインストールでつまづいてほしくないですから。
 特集3は「Ports/Packagesのすべて」です。これは、アプリケーションをインストールするためのシステムです。これが、FreeBSDとNetBSDとOpenBSDとで微妙に違う。FreeBSDが中心にはなっていますが、それぞれの違いや移植方法もわかるように書いてあります。付属のCD-ROMには現在あるPortsとPackagesの一覧が入っています。最初は本誌に掲載しようと思ったのですが、4000以上あって、それだけでひとつの本になってしまいかねないので、断念しました。
[日刊アスキー] 目次も見せていただいたのですが、かなり入門系の記事が多いですね。3番目の目標に向けての、プログラム関係の記事はないんでしょうか。
[鈴木編集長] 2号目からはプログラミングの記事も出していきます。ただ、どういう形でいくかは検討中です。
[日刊アスキー] アスキーではLinux magazineという雑誌が出ていますが、Linux magazineとは内容的にはかなり違うものになるのでしょうか。
[鈴木編集長] Linuxはビジネスの側面が強いと思いますが、BSD magazineでは、開発に興味があるとか、ISPのようなシステム管理者への情報の提供を中心にしていくつもりです。
[日刊アスキー] Linux magazineよりもUNIX MAGAZINEに近い?
[鈴木編集長] そうですね。ただ、やはりUNIX MAGAZINEとのカラーの違いは出て来るでしょう。UNIX MAGAZINEよりは裾野を広く、という感じですかね。
[日刊アスキー] 最終的にはやはり月刊化を目指すわけですか。
[鈴木編集長] 月刊化はどうでしょう。月刊化してまで出さなければいけない情報があるのか、という面もあるし、隔月くらいがちょうどいいのかなとも思っています。次の号の予定は12月ですが、それだとちょっと間が空きすぎて、連載も連載ではなくなってしまいますからね(笑)。
[日刊アスキー] では、ライバル誌は。
[鈴木編集長] 無いでしょう。BSDの専門誌としては調べた限りでは世界で唯一ですから(笑)。
[日刊アスキー] 今回の刊行にあたって、苦労された点があれば教えていただけますか。
[鈴木編集長] 書籍編集部の人間が作ったので、雑誌のノウハウがあまりなく、その点は大変でした。版型の大きな書籍みたいな感じになってしまったかな。

BSDはUNIXそのものである

[日刊アスキー] それでは、BSDのことを詳しく知らない読者もいらっしゃると思うので、Linuxとの対比も含めて、簡単に解説をお願いします。
[鈴木編集長] まず、BSDというのはUNIXそのものです。UNIXの発祥の地はAT&Tですが、AT&TがライセンスしてBerkeley(California大学Berkeley校)で開発されたのがBSDと呼ばれるものす。
 ユーザーも昔からUNIXを使っていたという人が多くて、大学関係、研究所といったところではかなり普及していますね。
 Linuxとの違いという点では、歴史の違い、開発形態の違いが大きいと思います。
[日刊アスキー] BSD magazineはBSD系OS専門誌ということですが、それぞれのBSD系OSについて簡単に解説していただけますか。
[鈴木編集長] もちろん、それぞれに特色はあります。
 まず、FreeBSDは安定して使えることを第一に考えて開発されています。
 NetBSDはとにかく数多くのプラットフォームに移植されています。ポータビリティを高めるという姿勢です。
 OpenBSDですが、より優れた技術を必ず採り入れる、それが最優先という姿勢で開発されています。また、特にセキュリティを重視しています。たとえばアメリカ合衆国の法律で暗号に輸出規制がかかっているので、世界中に配付するためにわざわざ本拠地をカナダに移したりしています。
 PocketBSDという携帯端末用のBSDもあります。これは、最初はFreeBSDを元に作られていたのですが、現在はその移植性の高さからNetBSDを元に開発されています。
 あとは商用ですが、BSD/OSというのもありますね。BSD/OSはサポートがしっかりしています。トラブルがあったときには徹底的に調査してくれます。
[日刊アスキー] ビジネスの分野での使われ方はどのような感じなのでしょうか。
[鈴木編集長] 一番目立つのはISPなどネットワーク系の高負荷がかかるサーバ系が多いですね。
[日刊アスキー] 今日はどうもありがとうございました。

カテゴリートップへ

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード