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『7万円で組み立てるLinuxマシン』

1999年08月17日 02時39分更新

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『7万円で組み立てるLinuxマシン』

著者 ゆんファクトリー

すばる舎 ISBN 4-916157-79-6  価格1800円(税別)

 自分でインストール、さらに自分で組み立てまで行なえば愛着もわくでしょう。そのような希望を持つLinux初心者に、インストール本よりも一歩手前のパーツの買い出し、組み立て、インストールからカスタマイズまでを説明した本です。小さな四六判の本で、288ページと分量は少ないにもかかわらず何でも詰め込もうとしています。

 題名の7万円は、ディスプレイを除く本体とLinuxのソフトの税込みの予算額です。7万円を安いと思うか、あるいはこんなに贅沢な予算と思うかは本人の経験や実力によります。私の場合は、7万円ではなく、もらったパーツや余ったパーツを組み合わせて作りますが、それでも足りない部品は7000円の予算でできないか考えます。Linuxを試しに使ってみたい場合は、Windowsなどに使っていた古くて遅いマシンで十分です。この本は、新品にLinuxを入れて使う、とてもLinuxの世界では考えにくい贅沢なことをしています。

 本書の読者対象は、パソコンを部品から組み立てるのも初めての人が対象で、秋葉原でのパーツの買い方から説明しています。しかし、説明はとても簡単で、この本の説明だけでちゃんと部品を集めるのは相当に難しいでしょう。パソコン雑誌なり、Webで調べたりはもちろん、自作できるレベルの友人知人を持つことが自作派への道の第一歩です。

 一番恐いのは、この本だけを頼りに、パーツを集めてLinuxマシンを作ろうという人が現われてしまうことでしょう。それを恐れてか、2ページに「注意!」があり、読者がこの本に従って組み立ててもさまざまな問題で動かないかもしれませんが、その場合には、著者も、出版社も、各製造メーカーにも責任はなく、組み立てたあなたに全責任があります、と明記されています。Linuxの世界では当然のことですが、初心者にも分かりやすい説明がほしいところです。

 パソコンを組み立てたり、Linuxをインストールしたことがない人に、この本を1冊与えて秋葉原でパーツを買わせて、1人で本当にちゃんと動くLinuxマシンが作れるかぜひ実験してみたい、そして、その状況をこっそり観察してみたいところです。

藤原博文

プロフィール

藤原博文

パズルを解くためにTK-80などに手を出したが、BASICの低速性が気に入らず、ついコンパイラを作ってしまった。それ以降はソフトウェアの世界から足抜けできなくなり、逆にパズルをする暇がなくてストレスが溜っている。UNIXはVAXの頃から使い始めすでに20年近く、Linuxは4年前より日常的に利用している。ホームページはhttp://www.pro.or.jp/~fuji/

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