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Storm 警報!!

1999年07月20日 00時00分更新

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 Storm Linux α版プレスリリースを切っ掛けに、このコラムを書くことになった。日刊アスキーの吉川氏のお誘いに「えー、やりましょう!!」と気軽に返答してしまったが、小学校から文章を書くのが大の苦手。そうでなければ、今プログラマにはなってなかったろう。こうして今書いている文章を考えるにしても四苦八苦してる始末である。そんな、僕のコラムを読んでくれてる皆さんに感謝をしつつ、早速、本題に入りましょうか。

 さて、僕のコラムのテーマが「カナダの生活とStorm Linuxの話題」なので、まず「Stormix Technologies Inc.」との出会いから話そうと思う。恐らく何人かの人は今、「何で、あなたカナダにいるの?」と疑問を持っておられると思う。それは、僕が「一匹狼のハッカー」で世界を転転としているんだよと言えれば、Richard StallmanかAlan Coxみたいにクールなのだが、下町生まれの僕は帝釈天の寅さんあたりが限界であろう。本当は、カナダで結婚し、娘が生まれて、プーちゃんしてられなくなったのであーる、テケテンテン(^^;

 それからは、いろいろなことにチャレンジした。Webページのデザイン、CGIプログラマ、日本の着物売り(これは1週間であきらめた)、パラグライダーガイド、どれも希望と落胆の繰り返しだけでよい結果が得られなかった。毎朝、新聞の就職欄を眺め会社の面接もたくさん受けた。ワラをも掴む思いの2年目が過ぎようとしてるさなか、溺死寸前の僕に救いの手を指し延べてくれたのがNetnation Communications Inc.であった。

 Netnation Communications Inc.(http://www.netnation.com)について少し説明すると、この会社のメイン事業は、レンタルWebサーバである。単なるレンタルサーバだけではなく、ユーザーが簡単に電子商品取り引きの環境が構築できるような商品を提供している今ウナギ登りの会社なのである。この会社が、この話の元である「Stormix Technologies Inc.」を生んだのである。そのおかげで、今の僕がいるのだ。感謝、感謝\(^o^)/

 僕がこの会社に出会った切っ掛けは、VanLug(Vancouver Linux User Group)のメーリングリストに流れたプログラマ募集メール。これはケビンが流したメールだった。

 ケビン[klindsay@stormix.com]は、プログラマであり、またStorm Linuxすべてのマネジメントを担当している。早速、彼にメールを送り、面接の日程を1週間後に決めた。

 当日、ダークオリーブのスーツをバビッと着て、気分だけでもヤッピーしながらバンクーバー ハーバーセンターの20階にあるNetnation Communications Inc.のオフィスへと赴いた。受付で5分ほど待たされ。そして、そこで初めてケビンに出会った。ケビンを見て最初に浮かぶ単語は、「ハッカー」である。当然よい意味でのハッカーである、性格も優しい人だ。実際、彼はよいプログラマで、GNU slocateコマンドは彼が開発している。面接はそんなに難しくなかった。ケビンは技術的な能力だけしか興味がなかったようで、僕も、以前UNIX kernelの開発、保守をしていた経験もあるので自信があった。僕が言う難しい質問というのは一般的な質問のことである。以前、面接で、「さあ、それじゃ、君の歴史を聞かせてくれ?」と聞かれてローリングソバットを食らったようになってしまったことがある。ようは適当に自慢話をしていればよかったのだが、初めて聞く質問と英会話能力の限界から「えっとー、東京で生まれて、…」と、歴史年表みたいな話をして、アーコリャコリャとなってしまった。

 ケビンの面接のあと、2時間ほど待たされた。オーナーのDavidと面接をするためだ。彼は、イスラエルから5年前にバンクーバーへ移り住んできたそうである。日本へもビジネスで行ったことがあるそうだ。Davidは抜群のビジネス感覚を持っている。

 Davidとの面接も無事終了し、最後に「もうすでに一人採用するのが決定しているので(これがもう一人の仲間、ガースだった。)、ケビンの判断で君を採用するか決める。」と言われた。これまでに採用連絡を何回待ったことか……、と思いつつ、その場を去った。

 そして、遂にケビンから採用のメールが届いた。そのとき気分は、フィラデルフィアの図書館の階段を掛け上がるロッキーだったのだ。そんなわけで、それまで面倒見ていてくれたカミさんには感謝している。それは、空よりも高く、海よりも深い感謝なのだ。

 1999年10月26日、Stormがカナダのバンクーバーに発生した。Storm警報である。それは、勢力はまだ小さいが、大きなパワーを秘めているのであった。

 続きは次回へ……。

 私信モード:植山君、これが真相なんだよ:-)

植山君は日刊アスキー Linux編集部員の1人で、「Storm Linux続報:緊急電話インタビュー」作成の際、池田氏へのインタビューを担当した

(池田篤司)

池田篤司(いけだあつし)

プロフィール
 工学院大学情報工学コース卒業後、1990年(株)PFUに入社し初めてUNIXを知る。SystemV系リアルタイムOSのカーネルの開発、保守に携わる。1994年、不況の中強気で会社を辞め渡加。
 1997年にLinuxを使い始める。1998年、Netnation Communications Incに入社し、1999年にStormix Technologies Inc.が設立され移籍する。

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