このページの本文へ

VA Linux Systemsとの関係は?――ノーザンライツ社長にインタビュー

1999年07月15日 10時08分更新

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 本日より自社ブランドのLinuxプレインストールパソコン「NL シリーズ」の販売を開始した、ノーザンライツ(株)の代表取締役社長の喜多伸夫氏と副取締役社長の植嶋辰弥氏にインタビューを行なった。

喜多伸夫社長(左)と植嶋辰弥副社長(右)

[日刊アスキー] 今回、自社ブランドのLinuxプレインストールマシンを販売するとのことですが、売りはどんなところにありますか?
[ノーザンライツ] 一番の特徴は、Linuxに最適化した最新モデルのハードウェアを低価格で提供するということです。生産は世界中にアウトソースし、Intelの情報や台湾のハードウェアメーカーなどの動向を見ながら、随時新しいものを採用していく予定です。
[ノーザンライツ] ただ、これらはやみくもに最新のものばかり提供しても意味がありません。特にLinuxは最新のグラフィックカードなど、ドライバがサポートされてないことが多いですから。逆にこれらについては、自社でドライバを開発し、技術力でサポートしたいと思っています。あくまでも安く、また、これまでの互換性は十分重視するつもりです。なお主にシステムインテグレータへのサポートが中心で、エンドユーザーへのサポートに関しては、別の専門サポート会社と提携して行ないます。具体的にはまだ未定です。
[日刊アスキー] 大手ハードウェアベンダも、将来的にはこれら同じ市場に参入してくる可能性はあるかと思いますが、どういったかたちで差別化していくのでしょうか。
[ノーザンライツ] やはりノウハウですね。早期参入することで、実績を築きたいと思っています。
[日刊アスキー] 具体的な導入先はどういったところがあるのでしょうか。
[ノーザンライツ] 名前は出せませんが、大手システムインテグレータ、また、膨大なグラフィックス処理の計算を行なう企業での導入が決定しています。もっとも売れ筋のマシンは、エンタプライズ向けサーバ「NL Server 2000~4000」のですね。また、大学など教育機関では、ワークステーションがよく売れています。
[日刊アスキー] これまで米VA Linux Systemsの国内販売代理店(※1)として活動を続けてこられたと思うのですが、今後はどういった関係になるのでしょうか。
[ノーザンライツ] VA Linux Systemsとは、これまでも、独占的な代理店契約を結んでいませんでいた。とは言っても、実質的に日本で販売活動を行なっていたのは弊社だけです。今後もお客様からVA Linux Systems製品の要望があった場合はもちろん受け付けます。
[ノーザンライツ] ただ、私たちがVA Linux Systemsの製品でなく、オリジナルのプレインストールマシンを発売した背景には、日本市場に特化した製品を提供したかったという理由があります。日本のマーケットに特化した製品の重要性はとても感じていました。それはローカライズという問題があるからです。日本で作られたハードウェアをLinuxに対応させることは簡単ですが、Linuxに対応した海外メーカーの製品を日本語化するのはもっと難しかったりするのです。
[日刊アスキー] VA Linux Systemsとの仲が決裂したというわけではないのですね。
[ノーザンライツ] ええ。彼ら自身、海外での展開がどれだけ大変かよく承知してます。現在北米での販売を進めているようですが、セールス方法などそれだけでも苦労が多いと聞いています。
[日刊アスキー] VA Linux Systemsは、オープンソース運動の草分け的存在であるエリック・レイモンド氏を顧問に迎えたり、Linuxポータルサイト「linux.com」を開設するなど、積極的な活動を展開していますよね。御社としては、今後どのようなかたちで関わるのでしょうか。
[ノーザンライツ] Webサイトに関しては、どちらとも言えません。可能性としてはないことはない、というくらいでしょうか。ただ現状においては、もっと別の今やるべきことを行なうまでです。

linux.comの画面写真
5月に開設された「linux.com」。同ドメイン名をめぐって、Red Hat Softwareなど数社の買収戦も繰り広げられた

[ノーザンライツ] 具体的には、まず個人ユーザーの方にも安心して購入していただけるような直販体制をきちんと整えたいですね。今のところ注文を頂いて納期までの期間は平均2週間くらいですが、これを1週間に短縮したいと思っています。BTOを中心とした販売方法という面では、VAのセールス中心方法よりも、VAから派生し、BTOを中心としたLinuxハードウェアの販売を行なっているPenguin Computingのビジネスモデルに近いです。Penguinもアメリカではかなりの実績を上げているようです。
[日刊アスキー] 今後のLinuxの展開をどのように見ていますか?
[ノーザンライツ] アメリカを中心に、各地Linuxのイベントを渡り歩いてきましたが、ハードウェアベンダのサポートが次々と進んでいることを実感しています。VA Linux Systemsが設立された'95年ころは、Linuxという言葉自体ほとんど知られていませんでした。5月にローレイで開催されたLinuxExpoでもかなりのハードウェアベンダがサポートをうたっていました。
[ノーザンライツ] 今後は、組み込み市場に大きなシェアが生まれるかもしれませんね。無料パソコンの配布が話題になっていますが、Linuxを使えばライセンス的にも価格的にも非常に有利になるはず。また、サーバ用途などで使用する際には、特にビジネスアプリケーションの必要性がないので、やはりニーズはあると思います。
[日刊アスキー] 今後、御社でも組みこみ向け市場でビジネスを展開するのですか?
[ノーザンライツ] 検討はしています。今のところ、もっとほかのできることからはじめますが。ただ、夢は大きくもったほうがいいですからね。
※1 ノーザンライツは'98年1月、稲畑産業の仲介により、Linux専門ハードウェアメーカーであるVA Research(現 VA Linux Systems)の販売代理店として設立された。以来、VA Linux Systems製品の販売とローカライズを行なってきた。現在従業員は7名。今後倍の15名程度に拡大するという。一方、VA Linux Systemsは、今年になって急激に規模を拡大しており、現在北米などへの進出も展開している。従業員は100名程度。

カテゴリートップへ