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『ホップ!ステップ!Linux!』  

1999年07月02日 00時00分更新

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『ホップ!ステップ!Linux!』

著者 吉田智子、堀井友美、八田万美、片桐麻里子、柳田恵

翔泳社 ISBN 4-88135-750-6  価格1900円(税別)

Linuxの本、とりわけCD-ROMが付いたインストール本が書店に行くと所狭しと並んでいます。どのCD付の本を買うべきか戸惑うでしょうが、最初は適当に安いのを買って、あるいは雑誌の付録などをインストールしてみることです。とにかく始めることが大切です。

そういう「CDに本が付録として付いているLinux本」で、インストールの方法しか書かれていない本とは一線を画した本を紹介します。

『ホップ!ステップ!Linux!』と、とても軽い題名の本で、Plamo LinuxのCDが付いていますが、インストール手順が見当たりません。副題にある徹底入門という言葉からすると、手とり足とりのインストールと思うかもしれませんが、そういう意味の徹底入門ではありません。

本書の黄色の帯には、“Linux界のマドンナ”とか、“女子大生ユーザが解説”との怪しい言葉が並んでいるので、間違いなくつまらない本と思う人もいると思います。しかし、そこはさすがに日本Linux協会の副会長である吉田智子先生の手で、まだまだ初心者のはずの学生だからこそ書ける初心者の苦しみや楽しみ、そして一番重要なLinux精神をもちゃんと織り込まれているのです。

Linuxにちょっと興味のある人、あるいはインストールはしてみたけれど、その後をどうしようか悩んでいる人には良い本です。技術的に面倒なことは抜きで、とにかく使ってみようという恐いもの知らずの女子大生パワーで、しかし書き方は細かく丁寧な仕上がりです。変な自信がないぶん、ちゃんとLinuxマシンに向かって試しては書いている形になっていて、じっくりと読めば、一通りのことがきちんと分かります。

非常に価値のある付録は、Linux開発者のLinus Torvalds氏が京都大学で行なった講演録、そして日本Linux協会会長の生越昌己氏のLinux Conference '98 基調講演録です。Linuxの世界を本当に育ててきたこれらの人々の発表を読むことで、Linuxの世界の雰囲気がつかめるのではないかと思います。

本書はあくまでも“入門書”です。次のステップへ進むのを忘れないでください。

(藤原博文)

藤原博文

プロフィール

藤原博文

パズルを解くためにTK-80などに手を出したが、BASICの低速性が気に入らず、ついコンパイラを作ってしまった。それ以降はソフトウェアの世界から足抜けできなくなり、逆にパズルをする暇がなくてストレスが溜っている。UNIXはVAXの頃から使い始め既に20年近く、Linuxは4年前より日常的に利用している。ホームページはhttp://www.pro.or.jp/~fuji/
 

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