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NTTデータ、ORDBMSの『Infrover/UniSQL』のLinux版を発表

1998年12月24日 00時00分更新

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(株)NTTデータは、同社のオブジェクトリレーショナルデータベース管理システム(ORDBMS)『Infrover/UniSQL』と、データベース連携ウェブサーバー『Infrover/InterServ』のLinux版を開発、来年6月までの期間限定でこれら2製品を無償提供すると発表した。これは、新しい市場であるLinuxマーケットからユーザーの意見や要望を広く集め、次期バージョンの開発に活かしていこうという試みで、そのため同社では、無償公開するこれらのバージョンを『御意見版』と呼んでいる。この『御意見版』については、次期バージョンのリリース以降も無償で利用継続が可能になる予定。

今回Linux版として提供されるものには、ORDBMS本体だけでなく、UniSQLクライアント、ESQLX開発環境(C APIライブラリ)、オンラインマニュアルなども含まれている。同社によれば、同製品に関する技術サポートが必要な場合は、30万円で提供が可能だという。また、ホームページ上でのQ&A集を公開し、利用者の情報交換のためのメーリングリストなども用意されている。

[コメント]

昨年、Informix、Oracle、SybaseのDBMS御三家がLinuxへの対応を表 明したことで、DBMSプラットフォームとしてのLinuxの位置づけが決定的なものとなりました。このNTTデータのLinux版リリースもそれと同じ流れで捉えられます。しかし、国産DBMS初のLinux対応ということと、DBMS本体だけでなく、それと連携するWWWサーバがミドルウェアとして同時に提供されるという点で、そこに新しい動き(の片鱗)を見ることもできます。特にDBMSは、ブランドよりも、実際に稼働するシステムを構築できてナンボの世界ですから、LinuxのDMBSマーケットにとって、非定型データの扱いに特徴を持ったInfrover/InterServのような製品が選択肢の1つとして提供されることは重要です。Linuxがブームで終わるかどうかは、こうした動きが一つずつ積み重ねられていくかどうかにかかっていると言っても過言ではありません。

さらにビジネスモデルという点では、現行バージョンを試用版として無償で提供し、次のバージョンで本格的なビジネスを展開する(あるいは、前バージョンを無償公開し、現バージョンでビジネスをする)という形が1つの流れとしてできつつあります。ユーザーにとっては、1つ前のバージョンとはいえ、気軽に試せる手段が提供されることは歓迎すべきでしょう。しかし、ビジネスモデルが確立できないことによる「とりあえず」の手段として、こうした方法が利用されている面もあり、その意味では諸刃の剣とも言えます。いずれにせよ、Linuxがビジネスになるかどうかの答えが出るのはもう少し先になるでしょう。

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