
新しいブラウザーは毎日リリースされるわけではありません。ここ最近はブラウザー市場に新規参入が見られませんでしたが、先日ついにVivaldi v1.0がリリースされました。Windows、MacそしてLinuxで使えます。
新しいブラウザーの必要性とは?
2008年にChromeが登場して以来、ブラウザーはChromeに一極集中するようになりました。Chrome含め競合はシンプルさとミニマルなインターフェース、そして分かりやすいUXを追及するようになりました。アプローチ自体は間違っていませんが、アプリケーションはどれも変わり映えしなくなったとも言えます。もしChromeをEdgeやOpera、Firefoxに変えても気がつくユーザーはほとんどいないでしょう。違いと言えば、立ち上げるアイコンのデザインくらいでしょう。
数年前なら開発系ユーザーはOperaかFirefoxの拡張機能で高度にカスタマイズをしたブラウザーを使えました。2013年にOperaはPrestoエンジンを廃止し、Blinkを採用してUIを簡略化しました。Mozillaは人気のない機能を廃止し続けています。最近廃止されたのはタブグループです。こうして市場から抜け落ちた需要こそが、より多くの機能を欲しているユーザーへの市場を開拓したのです。
VivaldiはJón S. von Tetzchner率いる元Operaの開発者チームによって作られました(Vivaldi 1.0.に関するインタビューはこちら)。彼の哲学はこうです。「友達のためのブラウザー」—つまり、彼ら自身が本当に使いたいブラウザーということです。その結果、市場の競争とは一線を画すものが完成しました。
これまでVivaldiを「Vivaldi: Opera’s Spiritual Successor」と「Vivaldi, Your Next Browser?」でレビューしましたが、バージョン1.0を待望していた読者のためにポイントをまとめます。
テクノロジー
ChromeやOperaのようにVivaldiはBlinkのレンダリングエンジンを使っています。汎用性の高い安定したWebサポートや拡張、開発者ツールを使うためです。Vivaldiのインターフェイスはちょっと変わっていて、HTML5のテクノロジーも利用しています。これにより、素早いクロスプラットフォーム開発、カスタマイズが可能で、面白い機能を将来的に使えるようになります。
セットアップ
インストールは素早く終わります。初期設定はカラースキームの設定、タブバーの位置、スピードダイアルの背景選択が順番に表示されるだけです。
Edgeのようにダーク色でカラーテーマが設定されています。競合のサービスも見習ってほしいものです。Blinkはときどき履歴パネル(色設定に関係なくいつも白黒)などに影響することがあります。
ブックマークやパスワードのインポートを要求されるわけではありませんが、スピードダイアル画面のブックマークタブにはいくつかオプションがあります。
設定ダイアログ(タブから開くことも可能)にはめまいのするほどたくさんのオプションがあります。
以上で設定関係はひとまず完了です。Operaの古いエディションの設定時ほどは苦労を感じません。
クエリ文字列を含んだURLをフルで表示することもできます。
OperaとSafariは耳をかっぽじってよく聞くように、Web開発者はこのURLは必見です!
インターフェース
主観ですが、Vivaldiは一番魅力的なブラウザーだと思います。競合がいないからというわけではありません。インターフェイスが簡単で設定しやすく、タブやパネルも思いのまま移動できるからです。
アクティブタブとアドレスバーの背景は、表示されているWebページのドミナントカラーを使っています。Philipsのテレビに映る優しいバックライトのような、ちょっと怪し気な感じがしますが、実際ものすごく使いやすいです。
通常のユーザーならF2キーですぐクイックコマンドにアクセスできます。Sublime TextやAtomにあるような“コマンドーサーチー立ち上げ”のシステムです。調整可能なキーボードのショートカットを組み合わせれば、二度とマウスを使う必要がなくなるかもしれません。
もしキーボードやマウスのジェスチャーのみを使うだけで良ければ、シームレスなUXのためにUI全体の停止もできます。
タブマネジメント
タブの操作はとても優れており、以下が可能です。
- カーソルを当てるだけでプレビューできる
- タブバーの仕切りをドラッグするとサムネイルとして表示される
- タブバーにピンできる
- ドラッグで再調整できる
- タブを上にドラッグすることで積み重ねや結合ができる
積み重ねたタブ(もしくはCtrl+クリックで選択した複数のタブ)はステータスバーアイコンを使ってまとめてリスト表示できます。
1つだけ問題があるとすれば、タブを積み重ねるときマウスの動きに注意が必要な点です。積み重ねたタブを外すのはもっと大変です。ドラッグで可能にすればいいのに、タブを外すときは右クリックメニューから選択しなければなりません。
セッションマネジメント
Vivaldiはデフォルトで前に閲覧していたセッションのタブを開きます。タブはアクティベーション中に読み込むように設定できます。これにより起動が早くなります(Firefoxはこの機能を持っていたことがあり、Operaも最近開始しましたがChromeとEdgeはいまだにすべてを読み込みます)。
アクティブタブはセッションとして保存でき(ファイル>セッションとして開いているタブを保存)、後から読み込めます(ファイル>保存されたセッションを開く)。タブをアクティブにし続けることなく、タブのグループ化によるメリットが感じられるすごく良い機能です。しかし、インターフェイスは改善の余地があります。どうして保存したタブの順番が逆になるのか分かりません。
パネル
サイドパネルはOperaユーザーが最も愛する機能の1つです。
バージョン1.0ではブックマーク管理やダウンロード、メモで(訳注:原文ではNotes、以下同じ)サイドパネルが使えます。メモはWebページでハイライトしたテキストを保存できますし、右クリックメニューの「選択範囲を新しいノートとして追加」でも簡単に保存できます。
メモはEdgeほど洗練されているわけではありませんが、使いやすく見やすいです。
サイドパネルの追加機能は近日中にリリースされる予定です。
サイドパネルに表示しているWebページを追加するのは、バーにある「+」アイコンをクリックすればOKです。
この機能はツイッターのような狭いレスポンシブ対応サイトやツールとして役立ちます。ほかのシステムではやや非効率的かもしれません。
検索
Vivaldiはアドレスボックスからの検索もできますが、検索窓とアドレスボックスは別々にあります。他の検索エンジンを追加したい場合は、特定のWebページ上で検索ボックスを右クリックして追加します。
その他の機能
他にも、このような機能があります。
- ページの重さとアセット数がページを読み込むごとにアドレスバーに表示され、読み込みが完了すると数値は表示されなくなる(残したままにできるオプションがあればさらに便利だと思います!)
- 早送りと巻き戻しボタンは履歴や検索結果から素早く目的のページを探すのに便利
- ステータスバーには表示しているWebページに対して、表示の大きさを変更できるズームスライダー、画像の表示・非表示・キャッシュ画像の表示を選べるイメージの切り替え、「Content blocker」「CSS Debugger」などが選べるページアクションがある
- どのフォルダーもブックマークバーとして使える
- マウスジェスチャーサポート
たくさんの機能がありますが、Vivaldiの動作は軽快です。アプリはOperaより若干早く立ち上がり、Windows版のChromeやFirefoxよりも速いです。Edgeだけが起動スピードで、ちょっとだけVivaldiに勝っています。
BlinkベースのブラウザーならWebページのレンダリングについてはBlinkとほとんど同じですが、VivaldiはChromeやOperaよりも少ないプロセスとメモリーで使えます。
安定性も増していて、いまだに何も問題は起きていません。
というわけで、新しいブラウザーにどうですか?
Vivaldi 1.0は前回のβ版からかなりスムーズになりました。見た目も使い心地も完成され、一貫性があって安定しています。
以下の機能は今後リリース予定の機能です。
- ブックマーク、パスワード、タブと設定のシンクロ
- Operaにあった閲覧ビューとターボモードの類似機能
- 追加パネルオプション
次のようなユーザーはVivaldiにすぐ切り替えると良いでしょう。
- Web開発者
- ブラウザーの機能の少なさにうんざりしているパワーユーザー
- Opera 12とそれ以下(市場の0.32%)をまだ使用している人
- Chromeのプライバシー問題を懸念している人
Vivaldiはメインストリームのユーザーを強く惹き付ける商業的な影響力は持っていませんが、変化のないブラウザー市場においてエキサイティングな存在ではあります。Vivaldiはユーザーの意見を大切にしていて、ユーザーの要求で機能を追加したり、マイノリティーが使う機能を削除したりしません。
Vivaldiを、試してください。きっと気に入ることでしょう。
興味があれば、Vivaldi CEOのJón S. von Tetzchnerのインタビューもチェックしてみてください。
