このページの本文へ

松村太郎の「ケータイが語る、ミクロな魅力」 第63回

ヒツジの執事がやってきた理由

2009年03月07日 13時00分更新

文● 松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

サービスプラットフォームとしてのi コンシェル

 i コンシェルは、パーソナルエージェントのプラットホーム。初期では前に挙げた一般的な情報提供がなされるが、iモードやiチャネル同様、コンテンツプロバイダーに対して活用してもらうプラットホームでもある。

 「主な機能群は4つあります。プッシュで情報を送るパターン、電話帳、スケジューラー、トルカ。それぞれ、年齢・性別・住んでいる地域といった属性情報を活用、タウンページに掲載されている電話番号とのマッチング、ユーザーの行動や趣味嗜好との連携、ケータイ内の情報のリアル連携、といった機能の使い方です」(前田氏)

i コンシェルのイメージ図。月210円の使用料金がかかる

 スケジューラーとトルカに関しては、ユーザーの趣味嗜好が現れる情報がケータイの中に入らなければ情報提供が出来ない。あるいは、世間から情報を取得したときに、その情報をケータイに残す、という行動が定着しなければならない。トルカに対応しているのは、よく行くお店などの情報をケータイに残す手段として、i コンシェルに対応させたそうだ。

ストレージサーバーに登録されたデータをエージェントエンジンが最適化した形で抽出する

 「コンテンツプロバイダーは、サービスの雰囲気を見つつも増えてきています。現在240程度(2009年2月末現在)になりました。執事を演じるまちキャラも『ヒツジはクビ』ということであれば、変更できます。おそらく、これは無限になければなりません」(前田氏)

 iモード上に載っているi コンシェルであるが、高いクオリティを保ちながらコンテンツを厳選しているiモードとは次元の違うコンテンツ数を揃える必要性を示唆する。「無限に必要」の意味は何だろう?

 「i コンシェルは、生活に密着する網羅感の方が重要だからです。自分の生活に欠かせないものというのは、人によって違います。iモードの公式コンテンツプロバイダは1万6000程度ありますが、自分がよく行くクリーニング屋のサービスやクーポン情報を提供しているサービスはありません。地域格差も存在しています。これらも吸収して、余すことなく網羅的にやっていく必要があります。情報提供サイドにも、より細かい解像度で情報を出してもらう必要があります」(前田氏)

 前田氏は、「長い道のりであることは分かっている」としながらも、i コンシェルに参加してもらって、継続的な情報提供のメリットを感じてもらいながら、一緒にサービスを作っていけるコンテンツプロバイダーを求めている。

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン