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松村太郎の「ケータイが語る、ミクロな魅力」 第63回

ヒツジの執事がやってきた理由

2009年03月07日 13時00分更新

文● 松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

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i コンシェルでさらなるパーソナライズを狙う

iモードやiチャネルも担当してきた前田部長

 ドコモの最新端末から対応し始めたi コンシェル。「2009年2月頭に約50万加入を突破し、同じプッシュ型情報配信のサービスであるiチャネルよりも立ち上がりの初速は速い」と語るのは、NTTドコモ コンシューマサービス部 ネットサービス企画担当部長 前田義晃氏。なぜ今回i コンシェルを導入したのだろうか?

 「2009年2月22日で、iモードが始まって10周年を迎えました。もともとiモードが標榜していたのは究極のパーソナルエージェント。それを成し遂げるのが、常にネットに繋がっていて、ユーザーが常に身につけているケータイです。もっとケータイ自体が自分の秘書、パートナーになってくれる、踏み込んだプラットホームサービスに必要性を感じて試行錯誤をしてきました」(前田氏)

 iモードは端末の「i」ボタンを押すだけで簡単につながるサービスであるが、コンテンツにたどり着くには、ある程度能動的にカテゴリを選び、階層の奥へと入っていく必要があった。情報に積極的なユーザーには十分使いやすかった一方で、便利さや活用方法を伝え切れていないユーザーに対してリーチすることは難しい。そこでスタートしたのがiチャネルだった。

 「5年前、iモードの主体がFOMA端末に切り替わるタイミングで導入しました。当時すでにiモードユーザーは3000万人おり、コンテンツもたくさん集まっていましたが、ニュースや天気予報などに月1回以上アクセスしていたのは約20%程度。これでは少ないと考え、能動的にアクションを起こさないユーザーにもサービス提供できるiチャネルを開始しました」(前田氏)

 現在iチャネルのユーザーは1600万人を超えてきた。テロップに最新ニュースやオススメ情報が流れる手軽でジェネラルな情報手段として、何気なくテロップに目をやり、興味を持ってクリックする、と言う瞬間を、多くの人が経験しているのではないだろうか。サービスへのハードルを下げることにある程度の効果を果たしたiチャネルだが、前田氏は「まだ足りない」と指摘する。

 「iチャネルでは、ネットの上にあるジェネラルなコンテンツへの距離を縮めることに成功しました。しかし、ネット上には、まだまだ便利な情報やコンテンツがたくさん揃っています。これらの情報とユーザーとの距離をどう縮めるのか。これには、1人1人に合わせた、きっちりとしたパーソナライズが大切だと考えました」(前田氏)

渋滞情報などを受信すると、更新したことを吹き出しで知らせてくれる

 前田氏は「ケータイを使う行為自体がパーソナルだ」と指摘する。例えば真っ先に活用するであろう電話帳は、自分でパーソナルなデータを入力して作り上げる。使いやすい設定や待ち受け画面、着うたといったケータイの設定もまさにパーソナライズだ。

スケジュールには、自動的に週間天気が入力されている。また映画の封切り情報も登録されており、クリックすれば映画の概要を見ることができる

 「ケータイを使っていく上で、その人が自分の属性を入れたり、ケータイの使い方を追いかけながら、レコメンドをしていければよいのではないかと思います。あくまでファクトをベースにすることが大切です。ユーザーが納得感を持って使うことを、分かりやすく提供すること、これが一番重要だと考えています」(前田氏)

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