SaaSはこれまでのソフトと何が違うの?
では、今までの2つの形態とSaaSの違いはどこにあるのだろうか?
それは一言で言えばプログラムの置いてある場所ということになる。
SaaSの場合、プログラムはサービスを提供するベンダー(プロバイダ)側のサーバーにインストールされており、利用者はインターネット経由で主にWebブラウザー(独自のアプリケーションをインストールする必要があるものもある)を使ってプログラムを利用することになる。Webブラウザーはほとんどのパソコンにあらかじめインストールされているので、SaaSを利用するために必要なものは基本的にインターネット接続環境とパソコンだけということになる(サービスによっては携帯電話にも対応している)。
そのため、支社や支店、自宅や出張先など、どこにいてもネットに接続されたパソコンさえあれば、いつもの環境で仕事ができるのだ。このようなソフトの利用形態は“クラウドコンピューティング”とも呼ばれており、近い将来これが主流になっていくと言われている。
また、ベンダー側のサーバーに置かれるのはプログラムだけではない。利用者が入力したデータも、利用しているパソコンではなく、基本的にベンダー側のサーバーに保存される。
もちろん通信時のセキュリティは厳重に管理されている。例えば、SaaSで提供されるメールサービス「Feedpath Zebra」を運営する株式会社フィードパスでは、専任の技術者がサーバの状態を24時間監視しており、システム的な不具合や、ハッキングなどの情報漏洩リスクを軽減している。このように、SaaSでサービスを提供する各社はセキュリティにも十分に配慮している。ノートパソコンに重要な情報を入れて持ち運ぶといった、リスクの高い従来の運用方法よりも安全と言っていいだろう。
さらに、ソフトのバージョンアップや、脆弱性が見つかった場合の対策といった面倒なメンテナンス作業も、すべてベンダー側が対応してくれるので、ネットワークに詳しい人材がいなくても十分運用できるというメリットもある。
つまりSaaSは従来のシステム部門のアウトソーシングと考えるとわかりやすいかもしれない。コスト的な面で業務のIT化に二の足を踏んでいた会社なども、SaaSを導入することによって比較的安価に最新のシステムを利用できるのだ。
表 従来のソフトとの主な違い
SaaS製品 | 従来のソフト | |
---|---|---|
プログラムの場所 | インターネット上のサーバー | パソコン、LANまたはイントラネット上のサーバー |
作成データ | ||
インストールの必要 | なし | あり(ローカルパソコンの場合) |
コスト | 低 | 高(利用規模による) |
メンテナンス担当 | ベンダー | 社内または外部委託先 |
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