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キヤノン「Satera」最新モデルに見る3つのポイント

オフィスでエコプリント徹底 その極意とは?

2009年02月27日 06時00分更新

文● 佐久間康仁/企画報道編集部

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 オフィスのプリンター/複合機に「不要なカラー印刷は控えましょう」「ランニングコスト カラー●円/モノクロ▲円」といった標語が貼ってないだろうか? 景気の急速な冷え込みが続き、従来のエコロジー(環境対策)に加えて、エコノミー(経済性)の観点からも“エコプリント”の徹底が求められるご時世になってきた。

Satera LBP9600C

A3対応カラーLBP「Satera LBP9600C」。外観は9500Cも同一だが、搭載メモリー(HDD)の容量や、オプションの給紙ユニットの最大数が異なる。9600Cは給紙ユニット3段で最大2000枚、9500Cは1段で最大900枚

 しかし現実には、「この資料はカラーじゃないとインパクトがない」「重要ポイントが目立たない」など、個々人の事情や主張でカラー印刷が減っていないのではないだろうか。

 キヤノンが2月26日に発表したオフィスカラーLBP「Satera LBP9600C/9500C/9100C」(A3対応)には、そうしたエコプリントを徹底するための3つのポイントが搭載されている。


ポイント1
両面でも高速印刷を実現

Satera LBP9100C

A3対応カラーLBPの低価格版「Satera LBP9100C」。操作部の液晶ディスプレーが省略されているほか、印刷速度などが異なる

 両面印刷は用紙枚数を半分近くに減らすためエコプリントに有効だが、多くのプリンターでは両面印刷を実行すると片面のときより印刷速度が遅くなる(機種によるが半分以下に落ちる場合もある)。Satera LBP9600C/9500Cは、標準で両面印刷機構を内蔵し、印刷速度は片面と同じ毎分30枚(A4、カラー/モノクロとも)を実現する。

 低価格モデルのLBP 9100Cも両面印刷は標準対応だが、印刷速度は片面時の半分の毎分10枚(A4、カラー/モノクロ)となる。


ポイント2 プリンタードライバーをカスタマイズ

 オフィスに導入した共有プリンターを使い始めるには、デバイスドライバーを社内Webサイトやファイルサーバーから取得するというケースが多い。キヤノンではこのデバイスドライバーをカスタマイズした状態で配布できる「Canon Driver Configuration Tool」を無償提供している。

 これを使えば、初期状態で両面印刷の実行や、カラー印刷の禁止(選択項目のグレーアウトもしくは非表示)などが設定できる。設定項目は、プリンタードライバーに用意された全項目に渡るため、すかし印刷やパスワード認証印刷の徹底など、セキュリティー強化のためのカスタマイズも可能だ。

 ただし、これはプリンタードライバーを社内サーバーなどで配布する場合(利用者が社内サーバーから取得した場合)に限られ、例えばインターネット経由でキヤノンのサイトからプリンタードライバーを取得した場合には機能しない。

 日本HPが配布する同社製プリンター管理ツール「HP Web Jetadmin」(関連記事)が、プリンター側で印刷実行時にユーザー名やアプリケーション名をチェックして、カラー印刷の実行可否を決められるのに比べると、抜け道が残されている。


ポイント3 低TEC値とドラムの長寿命化

 最近の電化製品では、最大消費電力の値よりも「TEC値」という指標が重視されている。詳細は関連記事を参照いただきたいが、より現実的な運用での消費電力の目安となる数値だ。

 Satera LBP9600C/9500CはTEC値で1.30kWh、低価格モデルのLBP 9100Cは0.81kWhという、A3対応カラーLBPでクラス最小を実現している(2009年2月1日時点、キヤノン調べ)。TEC値は印刷速度が速いと、実使用における印刷枚数も比例して多くなるものとして計算するため、単純に性能の良し悪しを測ることはできないが、低TEC値であれば消費電力も比例して下がると予想されるため電気代を含めた省コストにつながる。

 また、消耗品である転写ベルト(トナーを転写ドラムから紙の表面に載せる部品)が、モノクロ印刷時にはカラー転写ドラム(CMY3つ)から離間する機構を取り入れている。従来はモノクロ印刷でもカラーと同様にドラムに接して稼働するため、モノクロ印刷しかしないにもかかわらずカラー転写ドラムの寿命が短くなる(交換を求められる)、という不経済なケースも発生していた。加えて、カラートナーが切れた状態でも、モノクロ印刷が可能となっている。

 このほか、用紙の補充やトナー交換などでトレイ/カバーの開け閉め時に、ついつい余計な力を加えてしまう(部品の破損でプリンターのダウンタイムが発生する)ことのないよう、「クローズアシスト機構」「ワンプッシュクローズ機構」が新たに搭載された。ゆっくり押しても、最後は自然にトレイ/カバーが閉まるので故障が減るという。

 印刷コストは、A4モノクロ約2.9円、A4カラー約12.4円。本体サイズと重量は、幅545×奥行き591×高さ361mm/約34kg。インターフェースはUSB 2.0×1、10/100BASE-TX×1。対応OSはWindows 2000/XP/Vista、Windows Server 2003/2008(2000以外は64bit版にも対応)。

 電源投入から印刷可能になるまでのウォームアップタイムは30秒以下(LBP9100Cは37秒以下)、スリープから復帰にかかるリカバリータイムは9秒以下(11秒以下)となっている。

A4対応のコンパクト機も同時発表

Satera LBP7200CN

前面カバー、前面トレイのメンテナンス性の高さが特徴、A4対応カラーLBP「Satera LBP7200CN」

 なお、同時にA4対応でコンパクトサイズのカラーLBP「Satera LBP7200CN/7200C」も発表された(CNはネットワーク対応)。こちらは前面カバー、前面トレイでメンテナンス性の良さが特徴。トナーカートリッジの交換も、引き出し式のトナーセッターに載せるだけでいい。

 印刷速度はカラー/モノクロともに毎分15枚。両面印刷も標準対応で、印刷速度は毎分10枚となる。印刷コストはA4モノクロ約3.1円、A4カラー約16円。本体サイズと重量は、幅409×490×331mm/約22.0kg。インターフェースはUSB 2.0×1、10/100BASE-T×1(7200CNのみ)。対応OSは9600Cと同一。TEC値は1.44kWhとなる。


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