Windows 7の変更点を、Windows VistaやWindows XPとの画面比較で解説する本企画。第2回では「エクスプローラー」と新機能「ライブラリ」を中心に解説する。
エクスプローラーの新機能「ライブラリ」
Windowsのファイル管理ツールであるエクスプローラー。Windows 7のエクスプローラーは、基本的にはVistaの機能やデザインを継承しているが、全体的にシンプルさを重視した構成となっている。
なお、Windows 7では従来の「エクスプローラ」から、「エクスプローラー」へと、末尾に音引きが付くように表記が変更された。これは2008年7月に外来語カタカナ用語に関する表記ルールが変更されたことに合わせた措置で、多くの用語が同様に音引き付き表記へと変更される(関連サイト)。
Windows 7でエクスプローラーを実行すると、「ライブラリ」という新しいフォルダーから開くので、やや面食らうかもしれない。このライブラリとはWindows 7で導入される新しい機能で、テーマ別にフォルダーを集めた「仮想フォルダーの1種」と言える。
例えばライブラリ内の「ピクチャ」フォルダーは、その下に「マイ ピクチャ」と「パブリックのピクチャ」を束ねている。この2つのフォルダーは、HDD上ではまったく異なる位置(C:¥Users¥(ユーザー名)¥Picturesと、C:¥Users¥Public¥Pictures)にあるものだが、ライブラリ内では1つのピクチャライブラリの下にあるように見える。「ドキュメント」や「ミュージック」も同様だ。
ライブラリを使えばHDD内に散乱したファイルを、テーマに合わせてフォルダーごとまとめて管理しやすくなる。ユーザーはライブラリ内に任意のフォルダーを追加できるので、とりあえずライブラリに追加しておけば、そのフォルダーがHDD上のどこにあるかを覚えておく必要はなくなる。ユーザーが新しいライブラリ項目を作成することも可能だ。
例えばデジタルカメラで撮った写真を、メモリーカードからフォルダーごとパソコンにコピーした際に、コピー後のフォルダーをピクチャライブラリに追加すると、そこに保存されている写真は、ピクチャライブラリにも並ぶ。
Vistaまでは各ユーザーごとのフォルダーとパブリックな共有フォルダーが別々に存在し、共有したいファイルとしたくないファイルの管理が面倒だった。ライブラリでまとめることで、こうした手間が省ける。ライブラリにファイルをコピー/移動した場合に、どこのフォルダーに実体を保存するかは、ユーザーがあらかじめ指定できるので、「家族に見られては困るファイルを、うっかりライブラリにコピーして公開してしまった」という心配はあまりない。
ライブラリは今までのWindowsにない概念なので、Windowsを使い込んだ人にとっては、「フォルダーとファイルの管理は自分できちんとしているから、わざわざ仮想フォルダーにまとめる必要はない」と感じるかもしれない。しかし、例えば動画編集の際に、動画や音声、画像などの素材をHDDのあちこちに分散保存していても、ライブラリを作ってそれらのフォルダーをまとめてしまえば、効率よく作業できそうだ。活用法次第で便利に使えるだろう。
シンプルさを追求した変更が見られるエクスプローラー
ライブラリの追加が非常に目立つエクスプローラーだが、それ以外にも細かい修正が見られる。それらはおおむね、「シンプルさ」「分かりやすさ」を追求した修正のようだ。
Windows 7のエクスプローラーは、パッと見た目こそVistaとあまり変わらないように見えるが、細かい点が修正されている。例えば左側のナビゲーションペイン(フォルダーツリーなどが表示されている部分)が、Vistaでは「お気に入りリンク」と「フォルダー」表示に分割されていたところを、1つの領域で区切りがなく表示されるようになった。
また、コマンドバー(アドレスバーの下にあるタスク欄)に表示される項目が少なくなった。例えば、Vistaでフォルダーの種類を「画像またはビデオ」に設定した状態で、そのフォルダー内の画像を選択した場合、コマンドバーには7つの項目が表示されている(共有されたフォルダー内の場合は8つ)。中には使用頻度の低そうな項目もある。一方Windows 7では、表示される項目は5つと少ない(共有フォルダー時は6つ)。「表示」の項目は右端のアイコンに変わり、「電子メールで送信する」は廃止されている。
