2008年の重要キーワード
SSDそしてインテルAtom
2008年を振り返ると、自作業界もご多分に漏れず、どこか元気の無い話題が際立ったように感じた人は多いのではないだろうか。年末にかけての円高で、海外輸入が主なPCパーツの値頃感に期待しつつも、業者間でしのぎを削る価格競争は「大丈夫なんですか?」と疑問に感じてしまい、どこか遠慮がちな歓迎になったのは筆者だけではないはずだ。前途多難な2009年を憂いつつ、少しでもPC本来のテクノロジー面で心躍る製品が生まれることを切に願うわけであります。
そんな中、2008年度の“自作番付”で横綱クラスに位置したのは“SSD”とインテルの“Atom”ではないだろうか。
前者のSSDは普及価格帯になったことで一気に人気が上昇。後者のAtomは爆発的ヒットから一気にシェアを伸ばしたネットブックの存在が大きく、家電系大型量販店に大手PCメーカーを差し置いて一等地に陳列されている様子は、自作ユーザーに少なからず衝撃を与え、PC好きにはたいへん重要な「なんとなく欲しい」という衝動に駆られること請け合いであった。そしてその衝動にまんまと駆られたひとりがここに居る。
自作派を自負するなら“自分で組みたい”
というわけで年も改まり、心機一転とばかりにこのAtomとSSDで今年最初の衝動買いを決意。ただし自作派を自認し、かつ末端ながら自作ライターを生業としている身としては、完成品ではなくやはり自作で行きたい。有難いことにAtomオンボードのマザーボードやMini-ITXケースの選択肢も増え、得意の“エア自作”(そんな言葉があるのかはこの際無視だ)を駆使してひと通り妄想するも、今ひとつ決め手が無いと思っていた矢先、ベアボーンという手を思いついた。
ベアボーン(bare bone)、直訳すれば“剥き出しの骨”となる半完成品キット。これまで純粋な自作からは少々逸脱するイメージが強く、選択肢からは外れがちになっていたが、今回の主たる目的はAtomとSSD。懐具合との兼ね合いからすれば単純にコストパフォーマンスに優れ、またタイミング良くアタリを付けていたFOXCONNのベアボーンを代理店(リンクスインターナショナル)から借り受けられるという話があり、これに乗じて製品をご紹介しつつ組み込んでみようということと相成った。
Atomベアはコア数選びから!
Singleで行くか、Dualで行くか
FOXCONN「R11S2MI-BA」は、Single Atom 230をオンボード搭載したベアボーンキットで、12月上旬に発売されたモデルだ。手元のリリースに目を通すと、リンクスインターナショナルがFOXCONNと代理店契約を締結し、その第1弾となる製品で、実売価格も税込1万4800円とお買い得感が高い。さらにDual Atom 330搭載モデル「R11S4MI-BA」も1月下旬には発売され、こちらは税込1万6800円となっている。価格差は2000円。恐らく個人的な使用目的を考慮するとSingleもDualも大差ないと思いつつも、そこは人情、SingleとDualの大きな違い、そして微妙な価格差は悩み所だ。
今回は代理店より両モデルを借りたため、執筆時発売前のDual Atom 330搭載「R11S4MI-BA」を使い1台組み上げてみることにした。別途用意する構成パーツは、のちのち本体を買った後で載せ替えれば良い。我ながら職権乱用も甚だしい(笑)。
ここで両モデルの仕様を確認すると、95(W)×283(D)×282(H)mmのスリムタイプで、デザインは共通。オープンベイはこの手のMini-ITXケースに有りがちな薄型光学ドライブベイではなく、5.25インチサイズが1段となり、3.5インチベイにはCF/SmartMedia/MS/MS Duo、SD/MMに対応したカードリーダ/ライターが装備されている。またHDDも3.5インチ用ベイが1段用意されており、手持ちパーツの資産運用がし易くなっている点も特徴のひとつだ。ちなみに電源はFPSの150Wモデルが搭載されている。
つまり今回ベアボーン本体の他に必要となるパーツは、
・DDR2-533対応メモリ
・3.5インチHDD
・5.25インチ光学ドライブ
・OS
・キーボード/マウス
の以上6点となり、予算の都合上、モニタは手持ちの製品を流用、3.5インチHDDに関してはもちろんSSDをマウントさせることにした。
(次ページへ続く)
