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企業・業界レポート 第4回

最新技術を追いながらも「精度へのこだわりを捨てる」

ビジネスの発想を身につければ研究者は即戦力になる

2009年02月10日 08時00分更新

文● 秋山文野

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自分の技術・知識を世に出したいという人に来てほしい

―― ブログウォッチャーさんが大学で高度な研究を収めた人材を受け入れた場合、ビジネス向けにサービスを発想する訓練を行なうわけですか?

 まず精度へのこだわりをちょっと捨ててもらいます。研究分野では70%の精度がある技術を75~80%にしようとする傾向があります。でも、商品・サービスとして考えれば、70%くらいの精度でも十分役立つものがあります。研究者から見れば、それほど高度ではない技術を使ってもサービスが成り立つことが多いのです。

 そういうとき「このような高度な技術を使うと精度が80%になります」という提案が上がってくると、コストとの見合いを考えると、このモジュールの精度は70%でいい、という話をしますね。コストが1.5倍になったのに精度は10%しか上がらない。これでは企業経営としては見合わないことが多いです。コストと精度の関係の感覚をつかんでもらうのが大事です。この部分をつかんで、自分の技術の使いどころというのを理解してもらえるようになれば大変有用な人材になります。

―― 実際に御社のような検索ビジネスにおいて、大学院から人材を受け入れた場合に、すぐに即戦力になり得ますか?

 活躍してもらうフィールドによりますが、大学で博士号を取得した人の中には、高い対人コミュニケーションを持つ人は多いと思います。そのような人は大学では研究のリーダー格だったりするわけですから。

 ただ、技術の話になるととたんに堅くなる学者タイプの人もいます。技術の話で熱くなってしまって、クライアントさんと争ってしまうケースもあったりします。また納期に対する意識も重要だと思います。その部分だけは気をつけてもらえれば、すぐに活躍していただけると思います。

 あと大学院卒の場合は年齢が若干高く経験が豊富なので、給与面などの待遇面で企業と調整する必要があるかもしれません。ただ、企業側から見ると、社会人としてはある意味新人と一緒という面もあります。条件面の折り合いは話し合いの中で納得してもらうしかないですね。

―― これからどういった人を求めていかれますか

 自然言語技術の研究だけをやっていきたいという人より、大学で10年間積み重ねてきたことを世の中に出したい、試したいというモチベーションのある人ですね。そういう思いがある人は新しいビジネスへの提案も積極的にしてくれますし、精度とコストの見極めなどを受け入れてくれます。

 また、ブログウォッチャーもベンチャー企業ですから、当社を勉強・成長のフィールドにして、学んでやろうという野望を持つ人の方が伸びると思います。自らの成長にモチベーションをおいてもらい、新しい事業を切り開いていこうという人の方が向いていると思います。

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