成熟期に入ったと言われるデジタルカメラ。これからは買い替え/買い増しユーザーをターゲットにした新しい展開が求められている。
コンパクト機の分野では、光学式手ぶれ補正/高感度対応、広角レンズ、そして顔認識を始めとした「おまかせモード」の搭載といった失敗写真を減らし、撮影領域を増やすための機能が続々と搭載されてきた。それでは2009年のトレンドは何になるのだろうか? その結論としてパナソニックが打ち出してきたのが、ハイビジョンをスナップ感覚で写せる「AVCHD Lite」形式の動画記録と「人物か」どうかではなく、「誰か」まで認識する個人認識機能だ。
28日に発表されたLUMIXシリーズの新モデルを見ながら、その魅力について考えてみよう。
AVCHD Liteとは?
AVCHD Liteは、これまでデジタルカメラで一般的だったモーションJPEGやMPEG-4形式に変わり、パナソニックとソニーが策定した動画フォーマットだ(関連サイト)。ビデオカメラやBDレコーダーなどで採用されているAVCHD規格と同様にH.264形式を採用しているが、サイズは720p(1280×720ドット)に限定している。ビットレートは17Mbps(SH)と13Mbps(H)、9Mbps(L)の3種類。HDMI端子でVIERAなど薄型テレビと接続して楽しむ、SDカードスロット付きのDIGAにデータを転送して、簡易なカット編集やBD-Rへの焼き込みをするといった使い方も容易。
従来動画というと保存も編集もパソコンでするのが一般的だったが、観る/残すという2点で新しく手軽な選択肢が登場することになる。
今回発表された機種で、AVCHD Liteに対応しているのは、広角25mmからの12倍と高倍率ズームを搭載した「DMC-TZ7」(きみまろズームの後継)と、LUMIXシリーズとしては初の3m防水対応機「DMC-FT1」。両機種ともminiHDMI端子を装備しており、VIERAとの接続時にはVIERAのリモコンでカメラを操作できる(VIERA Link)。
音声に関してもステレオ録音のほか、Dolby Digital形式に対応するなど、こだわっている印象だ。
また、LUMIXシリーズの新製品では、高負荷な動画処理に対応するため、「Venus Engine HD」+「Venus Engine V」のデュアル映像処理エンジンを搭載している。トータルで従来比約2.4倍の高速化を達成。H.264動画の高速な処理に加え、後述する個人認識、画像再生の高速化表示(1枚再生時で従来の約4倍、12画面で約8倍、30画面時で約17倍)や省電力化(15%)といった改善が加えられている。
個人認識とは?
LUMIXシリーズでは、フルプルーフで失敗写真を減らす「おまかせiA」モードが従来から搭載されてきたが、今回のモデルでは、6人までの人物をカメラに登録し、集合写真などで優先的にその人にフォーカスを合わせる機能が新たに搭載されている。登録に関しては、5回同じ人物を撮影するだけ(5枚目の撮影時に登録を確認するアラートが出る)。単にその人物を中心に撮影するだけでなく、再生時にその人が写った写真に絞り込んで見ることも可能だ。
個人認識機能は今回発表された7モデルのうち、TZ7、FT1、FX550、FX40の4モデルに搭載されている。
デジタルカメラはスナップ撮影の楽しさを広げたが、それは写真の整理の難しさ、目的の写真を見つけることの困難さと表裏一体でもあった。個人認識によって、そういった撮影後の煩雑さの解消も進みそうだ。
なお、今回パナソニックから発表されたLUMIXシリーズの各モデルの特徴と発売日、予想実売価格は下記のとおり。個別の機種の情報に関しては、同社ウェブサイトまたは後日掲載予定のレビュー記事などを参照してほしい。
LUMIXシリーズ新モデル
- LUMIX TZ7(高倍率ズーム)
- 1010万画素、光学12倍ズーム、AVCHD Lite、個人認識
- 3月6日発売、4万7000円前後
- LUMIX TOUCH FT1
- 1210万画素、光学4.6倍ズーム、AVCHD Lite、個人認識、3m防水
- 3月6日発売、4万7000円前後
- LUMIX FX550(タッチ液晶)
- 1210万画素、光学5倍ズーム、個人認識、タッチパネル
- 2月20日発売、4万3000円前後
- LUMIX FX40
- 1210万画素、光学5倍ズーム、個人認識
- 2月20日発売、4万円前後
- LUMIX FS25
- 1210万画素、光学5倍ズーム
- 2月20日発売、3万6000円前後
- LUMIX FS6
- 810万画素、光学4倍ズーム
- 2月20日発売、2万8000円前後
- LUMIX LS85
- 810万画素、光学4倍ズーム、単3電池駆動
- 2月20日発売、2万2000円前後
なお、「LUMIX CLUB」では、DMC-FX40の限定色(シェルホワイト)、DMC-FT1の限定色(スプラッシュブルー)、DMC-TZ7の限定色(レッド)の3機種をモニター販売する。
アンケートに答えることと、同サイトの会員であることが条件。購入金額は入札金額と応募数の兼ね合いで決定する。
