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Core i7を味わい尽くすハイエンドPC Endeavor Pro7000

2009年01月24日 10時00分更新

文● 小西利明/トレンド編集部

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拡張スロットは豊富、CrossFire XやNVIDIA SLIも対応

 ハイエンドパソコンの拡張で重要な要素として、複数枚のグラフィックスカードを装着できるかという点がある。そしてこれを実現するには、PCI Expressスロットの数、電源の出力とコネクター数、筐体内に十分な空間があるかなどが問われる。

 Pro7000は拡張のベースとしても優秀だ。まず拡張スロットは全部で6スロットあり、グラフィックスカード装着に使えるスロットは4つも用意されている。加えて、AMDのマルチGPU技術「CrossFire X」と、NVIDIAのマルチGPU技術「SLI」の両方に公式対応している。

 注文時に選択可能なグラフィックスカードは、ATI Radeon系列がRadeon HD 4870 X2、4850、3450。NVIDIA系はGeForce GTX 280、GTX 260となっている。

拡張スロット部を拡大

拡張スロット部を拡大。グラフィックスカードの2枚差しはもちろん、1スロットタイプなら4枚差しも可能か

Endeavor Pro7000の拡張スロット
PCI Express x16 ×2
PCI Express x8 ×2
PCI Express x4 ×1
PCI ×1

 ただし、2スロット占有タイプのグラフィックスカードを2枚装着しようとすると、少々面倒なことがある。

 最上段(x16)とその下(x8)のスロットは装着可能なカード長が312mmまでとなっており、何の問題もないのだが、2つめのPCI Express x8スロット(2スロット占有カードでは冷却機構で使われる部分)は、装着可能カード長が240mmまでと短い。HDDベイ後部のカバーが出っ張っているので、その分狭くなるためだ。ところが長めの2スロット占有カードでは、カードの後端がカバーと干渉してしまう。つまり、このカバーを外さなくてはならない。

HDDベイの左に見えるのが問題のカバー

マザーボードや電源ケーブルの右、HDDベイの左に見えるのが問題のカバー。2スロット占有タイプのカードを下段に差すには、これを外す必要がありそうだ

 幸い、HDDベイ後部のカバーはネジ止めされているだけなので、HDDベイ自体を取り外してからカバーを外してしまえば、カバーとの干渉は避けられる。GeForce GTX 200シリーズは、最新のGTX 285/295搭載カードのリファレンスデザインでもカード長が約267mmなので、カバーを外せばなんとか2枚差しもできそうだ。

6+2ピンタイプのPCI Express電源コネクター

6+2ピンタイプのPCI Express電源コネクター。全部で4つある

 電源に関しての問題はない。搭載する電源ユニットは容量1000Wと、出力面では余裕がある。電源コネクターも6+2ピンタイプのPCI Express電源コネクターを4本備えるので、こちらも不足はない。ただし、電源ユニットの側面のスペックを見ると、12Vラインの合計出力が70Aとなっているので、GeForce GTX 295(関連記事3)のような電力喰らいのカードを2枚装着するのは厳しいかもしれない。


オーバークロックを意識した機能はなし

 Pro7000は最高で、CPU内部のクロック倍率が固定されていないCore i7 965 Extreme Edition(3.20GHz)を搭載できる。評価機材が搭載しているのもこれだ。

 ただし、特にオーバークロックを意識したソフトウェアが付属したり、BIOS設定に細かいチューニング項目があるわけではない。事実、CPUへの供給電圧や、メモリーのクロック/供給電圧といった設定はなかった。エプソンダイレクトの製品自体、そうしたマニア向けのチューニングよりも安定性や信頼性を重視しているので、当然と言えば当然だ。

 BIOS設定を見てみると、「Intel TurboMode Tech」という項目がある。これはCore i7の特徴である「ターボ・ブースト・テクノロジー」(関連記事4)の有効無効を切り替える項目だ。ターボ・ブースト時の各コアごとのクロック倍率も変更可能となっている。評価機での初期設定はターボ・ブーストが無効であったが、有効にすると倍率は、コア1だけが26倍(3458MHz)、コア2~4は25倍(3325MHz)に設定されていた。定格は24倍(3192MHz)なので、コア1だけなら最大2段階分の自動クロックアップが可能なようだ。

BIOSにあるターボ・ブーストの設定画面

BIOSにあるターボ・ブーストの設定画面。評価機はCore i7 965なので倍率はさらに上げられるが、特にオーバークロックを前提とした冷却機構ではないので、無理は禁物

 今時のベンチマークテストでは4つのCPUコアを使い切る場合が多いので、ターボ・ブーストの効果は感じられないが、Core i7 965+GeForce GTX 280の性能はさすがの一言。今回は統一した条件で計測する比較対象がなかったので、参考値としてPro7000のみの結果を掲載するに止める。Phenom II X4 940(3.0GHz)+GeForce GTX 280で計測したこちらの記事と比較すると、性能面ではかなりのアドバンテージを持っているのが分かる(CPU自体の価格が3倍以上違う点は目をつぶる必要があるが)。

 また、パソコン全体の性能を計測する「PCMark Vantage」で、32bit版の結果より64bit版の結果の方が、ほとんどで向上しているのも興味深い。同じアプリケーションでも、64bit版の方が性能面は多少上回ると期待できそうだ。

評価機の主な仕様
CPU:Core i7 965 Extreme Edition(3.20GHz)|メモリー:DDR3-1066 12GB|グラフィックス:GeForce GTX 280(1GB)
HDD:1TB(500GB×2、RAID0)|OS:Windows Vista Ultimate 64bit版
価格:42万2520円
PCMark Vantage
テスト項目 32bit版スコア 64bit版スコア
PCMark 6790 7280
Memories 5720 5908
TV and Movies 5174 5365
Gaming 8330 9266
Music 5674 5177
Communications 5833 6227
Productivity 5841 6904
HDD 4193 4449
3DMark06
テスト項目 スコア
3DMark 16481
CPU 5480
3DMark Vantage(Performance)
テスト項目 スコア
3DMark 11487
CPU 20355

組み合わせの柔軟なBTOメニュー

 BTO方式での注文時に、OSやコンポーネント選択のバリエーションが幅広いのもPro7000の魅力だ。

BTO方式でCore i7搭載パソコンを販売しているホワイトボックス系ベンダーは何社もある。しかし、なぜかOSとCPU、グラフィックスの組み合わせバリエーションが限られている場合が多く、理想的な構成が作りにくい。その点Pro7000はそうした組み合わせ制限がほぼない(64bit OSを選ぶと、Radeon HD 3450が選択できない程度)。自由度の高い構成が可能だ。

 高価なアルミ筐体と1000W級電源を採用している点もあって、ホワイトボックス系ベンダーのCore i7搭載パソコンよりも、Pro7000の購入価格が高めなことは否定できない。しかし、拡張性の高さと他にはないデザインの筐体に加えて、ユーザーサポートや顧客満足度の高さでは定評のある同社の品質といった目に見えない利点も合わせると、コストパフォーマンスで割高とは言えないだろう。

 高価なハイエンドマシンこそ、高い信頼性を求めたいもの。Core i7搭載パソコンでシステムの一新を狙っている人には、Pro7000は選択肢に入れる価値のある製品と言えよう。

Endeavor Pro7000 の主なスペック
CPU Core i7 965 Extreme Edition(3.20GHz)/Core i7 940(2.93GHz)/Core i7 920(2.66GHz)
メモリー DDR3-1066 3~12GB
グラフィックス Radeon HD 4870 X2(2GB)/4850(512MB)/3450(256MB)
GeForce GTX 280(1GB)/GTX 260(896MB)
HDD 250GB/500GB/1TB、最大4基まで
光学ドライブ DVDスーパーマルチドライブ、DVD-ROMドライブなど
テレビ機能 搭載せず
サイズ 幅209×奥行き490×高さ498mm(ハンドル含む)
OS Windows Vista Ultimate/Business SP1 64bit版、Windows Vista Ultimate/Business/Home Premium/Home Basic SP1 32bit版
価格 17万9970円から

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