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世界企業パナソニック 90年目の決断 第16回

日本企業は世界でどう戦うべきか?

パナソニックが抱えるグローバル戦略の課題とは

2009年01月21日 12時00分更新

文● 大河原克行

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グローバルアドバイザー会議の成果

 後日、大坪社長に、グローバルアドバイザー会議の成果を改めて聞く機会を得た。

 大坪社長は、参加した社員全員からメールが届いたことを明かしながら、「参加者からは、こんなにインパクトがあり、価値観を変えてくれたセミナーはなかった、という声があがってきた。中には、私は20数年間、海外勤務の経験があり、グローバル人材になっていたと思っていたが、今回のセミナーを通じて、単に海外勤務の経験があったというだけで、パナソニックが必要とするグローバル人材にはなり得てなかったという意見もあった。むしろ、海外勤務経験を持つ社員へのインパクトの方が大きかったともいえそうだ。社員が外に向けてエネルギーを発揮していくための仕掛けになったともいえ、第1回目としての成果は満足できるものになった」とする。

 パナソニックのグローバル人材の考え方は、人種、国籍、年齢、政府別などに関係なく、世界中の人材を活用することを前提としながら、グローバルな視点、ボーダーレスな考え方を持ち、経営環境の変化にも迅速に対応できる人材のことを指す。

 もちろん、グローバル人材の育成は、これからが本番だ。

 海外事業を担当する大月均常務取締役は、「課題は、グローバルでのサービス体制をいかに確立できるか。販売からサービスに至るまで、地域に密着した体制づくりに取り組みたい。それを実現するためには、グローバル人材の育成や各国でのパートナーシップは、重要な課題といえる」と語る。

 GP3のGPには、グローバルに増販しながら会社として進化することを示す「グローバル・プログレス」、国内、海外で高収益を上げる「グローバル・プロフィット」、世界中で信頼されるブランドを目指す「グローバル・パナソニック」の意味が込められている。

 それを実現するためには、グローバル人材の育成が急務だ。世界企業・パナソニックを加速する人材づくりが、将来に向けた大坪社長の大きなテーマであることは間違いない。

 「経営の根幹は人にあり。物をつくる前に、人をつくる」とした創業者・松下幸之助氏の言葉は、グローバルエクセレンスを目指すいまのパナソニックにとっては、とりもなおさず、グローバル人材の育成を指すことになろう。

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