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消える寝台列車「富士・はやぶさ」、その雄姿を記録せよ

2009年01月21日 13時00分更新

文● 斉藤博貴

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「富士・はやぶさ」が湯河原の街の真ん中を突っ切って走る様子を記録するために、できるかぎり街の描写を背景に取り入れた。客車部分が日陰になっているので露出を切り詰めずに撮影した。 撮影データ/マニュアルモード 絞りF4 シャッター速度1/2000秒 撮影感度ISO200 撮影画角180mm キヤノンEOS 5D EF70-200mmF2.8 ピントMF

 次に山の上の道から東海道本線を見下ろして撮ってみた。位置は東海道本線の真鶴駅~湯河原駅間に当たる(熱海を挟むが竹倉踏切からもそう遠くはない)。湯河原の街の裏手の山の中腹付近から、湯河原の温泉街と海を背景にして、大きなカーブを描く寝台列車、富士・はやぶさの全編成を収めるのがテーマだ。

 行き方は……湯河原駅からタクシーで適当に山の上まで行き、斜面の道を降りたり登ったりしながらたどり着いた。ほぼ中腹のあたりだ。この周辺の坂道はかなり急斜面なので、都会生活者には降りるだけでも根性が必要だ。

 なお、35mm判換算で400mm以上の画角で撮れるなら、斜面の見通しの良い所であればどこでも撮影できそうだ。もちろん、望遠レンズで被写体から離れて撮影できるのも、寒さで空気の済みやすい冬季限定だ。もし、夏季に同じことをするなら、被写体がかなり霞んでしまうだろう。



背景重視+線路から離れて撮る!


 こういう撮影の場合、ある程度は画角の狭いレンズを使用して列車から離れて撮りたい。理由は背景となる街並みの収まりが良くなること。具体的な話では、手前にある鉄道車両と背景の街並みのスケール差が縮まるというメリットがある。画角と立ち位置で鉄道車両と背景の街並みの大きさのバランスを調整するのだ。実は、レンズの画角が狭ければ狭いほど列車に対して背景は大きく描写できるのだ。


フレーミングはズームするだけ

 フレーミングはまったく難しいところはない。カメラを線路に向けて、樹木や建物など余計なものが入らない画角までズームするだけだ。筆者の場合は列車よりも線路が街中を大きなカーブを描きながら貫いている様子を撮りたかったので、テレ端200mmでも良かったところを180mmまで画角を広げて撮影している。

 おそらくこの手の撮影で面倒なのは垂直をしっかりと出すことだろう。レンズの像の歪みも手伝って、左右どちらかに傾きがちだ。三脚を使用するなら自由雲台よりも3ウェイ雲台の方が良いだろう。雲台を利用して限界まで水平を出した。そして、EF70-200mmF2.8の様に三脚座が付いているレンズなら、試写して背面液晶に背景の建物を拡大表示して確認しながら、レンズを回転させることでさらに水平を追い込める。


邪魔な架線柱の処理にだけは気をつけて!

 それと電化区間の一番嫌な所と言える架線柱の処理だ。機関車の顔など大事な部分が見えてるところでシャッターを切る必要がある。

 高速・多連写が可能なカメラであれば10枚でも20枚でも連写して一枚のアタリを選べば良い。しかし、筆者も含めてそんなすごいカメラを持てない撮影者は、撮影前のイメージトレーニングで列車が通過するとき、どこでシャッターを切るのがベストかを心に刻んでおく必要がある。


シャッター速度は速めに

 こういう撮影の場合、列車の動きをほぼ真横から捉えることになる。そうなると正面や斜めから捉えた以上に、被写体ブレが目立ちやすくなる。できれば1/1000秒以上で撮影したい。


F値は1段くらい絞ろう

 今回に限っては画質や周辺光量落ちを考慮してのことだ。背景の街並みなどもキレイに写したいので、1~2段くらい絞った最高画質で撮りたい。なお、被写体とカメラの距離はほぼ無限遠域なので、被写界深度の浅い深いは大きな問題とはならない。



必要なのは撮影テクニックより良好な撮影地

 1枚目の写真は背景の街を中心に撮っている。2枚目の写真は、1枚目撮影直後にカメラを左に振って、街並みと海をフレームに取り込んだ。視界が開けた撮影を見付けられれば、1回の撮影チャンスで複数ショットを収めることも可能だ。

湯河原の街と海を一緒に入れて撮りたかった。しかし、筆者の選んだ撮影地からは「富士・はやぶさ」の全編成、「富士・はやぶさ」、湯河原の街、海の3つを同時記録することはできなかったのでこのカットも続けて撮影した。撮影データ/マニュアルモード 絞りF4 シャッター速度1/2000秒 撮影感度ISO200 撮影画角180mm キ/ヤノンEOS 5D EF70-200mmF2.8 ピントMF

 この手の写真のいいところは撮影地にたどり着けさえすれば、初心者でも上級者でも平等にキレイな写真が撮れること。撮影地探しは出版物として出回っている「撮影地ガイド」などを参考にするのが王道だ。

 しかし、そういう有名撮影地は撮影者が集中しやすいという一面もある。だから、路線を通過する普通列車などに実際に乗車して、車窓から自分だけの撮影地を見付けるという努力もありだと思う。その場合、地形の高低差が見て分かる地図などがあると便利だ。そして、地図で目星を付けから実際に現地を訪れて確認するロケハンをする。最初の中は、目星を付けた場所が期待外れなんてこともあるだろうけれど、慣れてくると的中率が上がってくる。



最後に機材について


 今回も筆者が使用した機材は、キヤノンEOS 5DとEF70-200mmF2.8の組み合わせだ。画角のことや被写界深度のことを考えると、フルサイズよりもAPS-Cサイズの撮像素子搭載機がオススメだ。これからの季節は寒いので、低温度で本来の性能を発揮できない場合は、満充電したものに交換してしまった方が良い。また、冷えて使えなくなったバッテリーでも懐に入れて暖めれば機能を復活できる場合が多い。なお、三脚は回りの人の迷惑にならない範囲で使用して欲しい。

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