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ボトムズの生みの親、高橋良輔監督に直撃インタビュー!

2009年01月20日 23時00分更新

文● コンテンツ計画 清水

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―――今回の「ペールゼン・ファイルズ」からAT(作中ロボットのアーマードトルーパーの略称)がCGになったわけですが、CGだからできた、あるいは苦労したという部分はありますか?

【高橋監督】 もともと「こういうことがやりたかったのに、手描きだからできなかった」というのは、TVシリーズをやっていた当時にはないんです。その時に出来ること以上を望む、無いものねだりは意外としないタイプなので。その時に出来ることをやっていた。今回も今出来るから、出来る環境があるからこういうことをやってみたいという感じ。

 今の環境では、前よりはロボットの数が出せるようになってきた。数が出せることで、出来上がる映像というものがありますから、それを今回のシリーズではストーリーに絡ませていこうと。僕らの世代が、戦争物でいちばん物量を感じたのは「史上最大の作戦」というアメリカ映画。ここ10年ぐらいだと「プライベートライアン」のイントロは、作った人のリスペクトが相当入っていると思うんですよ。まあそれを再現はできないですけど、それを観てますから、その2本に影響されてますよという作り方を「ペールゼン・ファイルズ」の1話ではしています。僕は比較的「何々に影響された」というのをあっけらかんと出す方なので。インスパイアとかリスペクトとかオマージュとか。観たときにああいうのがあったよな、ああいうのがやりたかったよなという程度のことなんですけども。

―――今回の「ペールゼン・ファイルズ」からTVシリーズ後の32年後の話まで、キリコの話はだいたい揃ったと思うのですが、もう描いていない部分はないと?

【高橋監督】 あるんですけどね(笑)。この物語に関係なく、状況が同じようなものはありますから、それをボトムズに入れるか、違う作品でやるかというのは別にして、いつも用意してないといけない。ボトムズだけで言えば、この作品の前に14、5年前に「赫奕たる異端」というOVAを作って、フィアナが死んだことになっているんです。あの後いまだに、ずっとフィアナ復活の話を作ってくださいという話が聞こえてくるんですよ。
 僕らは手塚治虫さんに影響されてこの世界に入った。僕らのちょっと前の世代となると、亡くなられた石ノ森さんとか。石ノ森さんというと、僕は「サイボーグ009」(1979年)の監督やってますので、そうすると生で漫画家の先生にも意見や話を聞くわけです。そんな中で石ノ森さんが言うわけです。「マンガの中で永久に死ぬなんてことはない、俺が生き返らせようと思ったら生き返らせることが十分できるんだ」って(笑)。

 でも映像はそうもいかない。生き返ることにリアリティがないとご都合主義になりますよね。それでずっとフィアナ復活のアイデアがなかったんですけど、最近自分の中で、こういう道筋をたどれば大丈夫だろうというのが見えてきて、それをしぶとく考えてる感じです。急には出せない。



 「ペールゼン・ファイルズ」を作りながら、「孤影再び」という小説を日経のネット上に書いてまして、それが30年後の話なんです。どういう話かというと、キリコの頭の中でフィアナが死んでいないんです。死んでいないってことは、他の女の人じゃダメだってことです。ということは、いろいろあっても、もう一度なんらかの形でキリコとフィアナが一緒にならなければならない。TVシリーズの52話も冬眠生活に入るという話ですからね。同じようなことでもいいわけです。観る側としてみれば、2人がなんらかの形でいて、それが一緒に死ぬなり、また眠るなり、そういうことでもいい。それに向かっての話というのは少し頭の中にあるので、それは機会があったらぜひ作りたい。

(次ページへ続く)

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