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Macworld Conference & Expo 2009レポート 第8回

MacBUインタビュー

Macのビジネスに効く、MSの「Entourage EWS」とは?

2009年01月14日 13時00分更新

文● 小口博朗 写真●林幸一郎

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Exchangeとの接続速度がアップ! Entourage EWS

テデスコ

シニアプロダクトマネージャーのマイク・テデスコ(Mike Tedesco)氏

 2製品のアップデートについての詳細な説明は、シニアプロダクトマネージャーのマイク・テデスコ(Mike Tedesco)氏が担当した。マイク氏はまずExchange Serverの現状から説明を始める。

 Exchange Serverはグループウェア/メールクライアントで、その強みは大規模な企業サーバーの構築に向いているということ。現在ではマイクロソフト自身も、小規模ビジネスに向けたホスティングソリューション「Microsoft Online Services」を米国で展開している(国内での提供は2009年上半期の予定)。

 Exchange Serverを利用し、ホームユーザー向けにメールボックスを提供するサードパーティーも増えてきた。Exchangeは、小規模/大規模の双方のビジネスで広く利用されているそうだ。

 「そうした環境では、iPhone、Windows Mobileなどを含むすべてのクライアントから統一されたユーザー体験をウェブベースで利用できることが望まれている」(テデスコ氏)

 マイクロソフトは、さまざまなクライアントから効率的にデータベースにアクセスできるようにExchange Serveに新しい接続方法を追加してきた。そうしたExchange Serverの新機能を生かすため、Entourage EWSが作られたというわけだ。

Microsoft Online Services

Microsoft Online Servicesのウェブページ。同サービスでは、Exchange/SharePoint/Officeコミュニケーションを利用できる

 現在のEntourage 2004/2008でもExchange Serverは利用できるが、快適ではない面もあった。テデスコ氏はメールやスケジュールの作成といったほとんどの操作をクライアント側から実行しなければならないことが問題だと指摘する。

 「こうした操作は、より高いマシン性能を持つサーバー上で実施するべきだと考えている。そうすることで、何か問題が起こった場合でもサーバー上で一括して対応できる」(テデスコ氏)

 そうしたサーバー側でのデータベース操作を実現するために、Exhange Serverの開発チームは最新版の「Exhange Server 2007」にて「Exchange Business Logic Layer」というレイヤーを用意した。そしてMacBUは、このレイヤーに対応するクライアントとしてEntourage EWSを作ったというわけだ。

Exchange 2007 Server

中央にある紫とオレンジの部分がExcange Serverに相当する。左は従来の接続方法で、Enturageの場合はWebDAVを使って直接アクセスしていた。右側は今回のアップデート移行の接続方法を示しており、Entourage EWSはウェブサービスを使ってアクセスすることになる

 Exchange Business Logic Layerでの通信は、HTTPベースのプロトコルを使うとの説明があった。その結果、パフォーマンスに劇的な向上が得られるという。

 「Entourage EWSは、これまでにもプライベートベータとして、20以上の米国内の企業や大学に提供しており、メールボックスにアクセスする際のパフォーマンスは約2倍改善されたとの報告があった」(テデスコ氏)

 データの制御という観点からも運用しやすい仕組みだという。

 「ネットワークトラフィックの軽減でも、非常に良好なフィードバックが得られた。WebDAVベースで接続する際には、例えばミーティングのリクエストを受諾するだけで6回のコネクションが必要だったが、HTTPベースのプロトコルに変更することにより1回のコネクションで済む。この改善はネットワークトラフィックに劇的な改善をもたらすため、IT管理者に非常に好まれるだろう」(テデスコ氏)

 ちなみに新たな接続方法だけでなく、同期できる項目も増えている。Entourageとオンライン版のOutlookの間で、従来のメール/コンタクト/カレンダーに加えて、ノートやタスクもサポートした。

 Entourage EWSは、これまではプライベートβとして限定された企業や大学に対して配布していたが、今月中にパブリックβとして無料のアップデートを提供する予定だ。

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