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新しいビンテージを目指す──microKORG XL開発者に聞く

2009年01月14日 10時00分更新

文● 四本淑三、聞き手●Denkitribe、Baker

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プリセットは色鉛筆セットのようなもの


── 音色のセレクターも面白いですよね。音楽のジャンルと、それに対応する楽器のカテゴリーを掛け合わせて選ぶスタイルは初めて見ました。

金森 そこはこだわりポイントですね。まず「音選び」を楽しんでほしいということです。

左がジャンル、右が楽器のカテゴリー。A/Bバンク切替えで全128音色入り

坂巻 音楽に詳しい人なら、これで音のイメージが浮かぶと思うんですよ。例えばロックのキーボードと言ったら?

── やっぱ例のオルガンだよね! みたいな?

坂巻 それで音を聴いてニヤッとできる。逆に音楽に詳しくない人は、ああ、ロック系のキーボードはこういう音を使うんだ、ってことが分かる。

金森 例えば昔のリズムボックスって、リズムパターンがジャンルで表示されてましたよね。「マンボ」とか「タンゴ」とか。

── なるほど、ドンカマチック(国産初のリズムボックスにしてコルグ最初の製品。発売は1963年)のシンセ的解釈ですね! ただ、もっとエッジなジャンルや音があっても良かった気もします。どうですか、Bakerさん?

Baker でも基本的な音色は押さえてあるし、これくらいあれば、あとは自分で何とかしてやるという気になれますよ。

坂巻 音楽のジャンルって国によって違うじゃないですか。例えば「エレクトロニカ」と言っても定義はたくさんある。世界的に売る商品としては、どの国の人にも通じるベーシックさが必要だったわけです。

金森 音色については、シンセを初めて買う人を意識してスタンダードな音でまとめました。例えば色鉛筆のセットでも、いきなり変な色ばかり入っていたら困るじゃないですか。だから黒や白、赤や青といった、ベーシックなものを揃えました。そしてなるべく似たような音色ばかりにならなによう気を使っています。

坂巻 オレのロックのベースはこれだ! みたいなものを皆さんそれぞれ考えてもらうと面白いと思いますけどね。

── そういえばユーザーバンクはありませんが、エディットした音色はどこにストアされるんですか?

金森 ダイヤルが指している音色に上書きされます。上書きした後でも、オリジナルのプリセット音は呼び出せます。プリセットはただの音色見本なので、どんどん壊して自分のイメージに近づけていってほしいですね。



音色のエディットはPC用エディターを待て!


── とはいえ本体の「FULL EDIT」モードで音色を作るのは厳しい。2月の上旬に、PC用のサウンド・エディター・ソフトウェアが出るそうですが、それはどんなものになりますか?

金森 シンセの構成が1画面で一覧できるようになっていて、どなたでもすぐ音色が作れるようになっています。

2月上旬にリリース予定のエディタソフト。PCとUSBで接続して音色の編集が可能になる。なおmicroKORG XLは、USB接続でMIDIキーボード/外部音源としても使える

坂巻 同時にmicroKORG XLで、MS2000やmicroKORGの音色をそっくり再現できる音色データも用意しています。そこまでやる必要があったのかと思うんですけど。これがすごい。頼んでもいないのに(金森さんは)勝手にやってましたよね。

金森 2台並べて弾くと、大半の音色はまったく同じ音がします(笑)

── えーっ、ハードやシンセシスの仕組みも違うのに!?

Denkitribe 逆に本体のFULL EDITモードはどういう利用法を想定しているんでしょう?

坂巻 まず今ある音色をいじって楽しんでほしいんですね。その次のステップは、もうPCのエディターへ行ってほしいんですよ。それでパラメーターの構成を理解してもらえる。そうしたら次の段階として、本体のFULL EDITもバッチリ使えるようになる。

Denkitribe なるほど! そういう順番で使えば理解しやすいですね。

坂巻 「FULL EDIT」は取ってしまおうか、とも思ったんです。でもライブでの緊急の場面とか、ちょっとだけ直したいという時にないと困る。

── なるほど。とりあえず本体のノブをいじり倒して、エディターの登場を待ちましょう。今日はありがとうございました。

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