日米で大きく違う大学のIT環境
金正勲氏は、博士課程を米国の「インディアナ大学」で修了。有名IT企業が出資し、実験的にIT関連のインフラを整備するという恵まれた環境がそこにはあった。
それ以上に印象的だったのが、スキルを育む講座の充実ぶりだ。学期が始まる前に、学内のITインフラを使いこなすための講座が多数用意されており、電子メールに始まり、ワープロなどビジネス系ソフト、 Illustratorに代表されるようなクリエイティブツールのスキルを、誰もが無料で取得できる環境が用意されていた。
「学生にとってコンピューティングが必要という状況は、日本も米国も大きくは変わらないと思います。しかし日本の大学生を見ていると、メールは確かに使いこなしても、それより先の使いこなしまで考えている学生は一握りであるように思いますね」
慶応大学にも、SFC(湘南藤沢キャンパス)のような例外はある。とはいえ、総合大学は概して、ITに対してそれほど配慮しない傾向があるのも事実だ。そこには、学生がいつでもパソコンやアプリケーションを使えるようにする環境の整備、スキルを身に付けるための講座の整備など、米国に比べれば遅れを感じざるを得ない状況がある。
「日本でも学生がITを使いこなすとはあります。しかし大学として、体系的にインセンティブを与えられているとは感じられない状況です。生徒個人の意識に依存する部分が大きく、自分の学生を見ても格差が生じているように感じます」
金氏のゼミでは、プレゼンテーションを重視しているが、表現に関してはバラつきがある。Flashなどのツールを使いこなし、独創的な内容を作ってくる学生がいる一方で、単にテンプレートに文字を流し込んだだけという学生も少なくない。しかし、学生が交じり合ってプレゼンし合うと、学生同士が刺激し合い、連鎖反応が起きる。
「そういった化学反応が自分のゼミでは起きていると思う。優れたプレゼンを見ると自分もやってみたいと思う。相互に交じり合い刺激しあうんです」
